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2026年2月

老後に固定資産税が払えないとどうなる?滞納リスクと対処法・調達方法を解説

お役立ち情報 2026/02/26

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「年金中心の生活になってから、固定資産税の負担が以前より重く感じられるようになった…」と悩みを抱える方は少なくありません。住宅ローンを完済しても、不動産を所有している限り税金の支払いは続くため、収入が減った家計では負担が大きくなりがちです。

また、固定資産税を払えないまま放置すると延滞金が加算され、最終的に財産が差し押さえられる可能性もあります。しかし、早めに対処すれば十分に回避できる方法があることをご存知でしょうか。

この記事では、老後に固定資産税の支払いが難しくなる理由や滞納のリスク、そして現実的な対処法までを分かりやすくまとめています。不安を減らし、安心して次の一歩を踏み出せるように解説します。

そもそも固定資産税とは?老後もゼロになることはない?

固定資産税は、土地や建物などの固定資産を持っている人に課される地方税です。毎年1月1日時点で所有者として登録されている人に納税義務が生じます。

対象となるのは土地、家屋、そして事業用の償却資産の3つで、一般家庭では自宅の土地と建物が主な対象です。

分類 対象
土地 田、畑、住宅地、塩田、鉱泉地(温泉など)、池沼、山林、牧場、原野などの土地
家屋 住宅、店舗、工場(発電所や変電所を含む)、倉庫などの建物
償却資産 会社・事業者が所有する構築物(広告塔やフェンスなど)、飛行機、船、車両や運搬具(鉄道やトロッコなど)、備品(パソコンや工具など)

固定資産税は、固定資産税評価額に標準税率1.4%を掛けて算出されます。評価額は3年ごとに見直され、市場価格(実勢価格)とは異なる方式で計算されるため、一般には売買価格よりも低く設定される傾向があります。

建物の評価額には、構造や築年数に応じて経年減点補正が適用されます。

【建物の評価額の特徴】

  • 年数が経つほど評価額は下がる
  • とくに木造住宅は下落幅が大きく、最終的にはかなり低い額になることもある
  • ただし、制度上、家屋の評価額がゼロになることはない

なお、課税標準額が家屋の免税点(20万円)を下回る場合は固定資産税が課税されません。

また、年金生活に入ったからといって自動的に固定資産税が免除される制度はありません。
老朽化の末、建物として評価できないほど崩れてしまわない限り、課税は続きます。

出典:総務省「固定資産税

老後に固定資産税が払えなくなるケース

老後に固定資産税の支払いが難しくなることは、珍しいことではありません。とくに収入が減る時期と重なるため、多くの人が負担を感じやすくなります。ここでは、代表的な2つのケースを順に見ていきます。

1:収入が年金だけで額も少ない

老後に収入が年金だけになると、固定資産税は家計を圧迫しやすい支出のひとつです。日本年金機構の公表では、令和7年4月分以降の標準的な年金額は、夫婦2人の厚生年金と老齢基礎年金を合わせて月額23万2,784円とされています。

一方、生命保険文化センターの令和7年度の調査によると、老後の最低日常生活費は月額23.9万円が平均で、標準的な年金額でも毎月およそ7,000円の赤字になります。

個人事業主で国民年金のみの方や、無職期間が長く年金額が少ない方の場合、この赤字はさらに大きくなります。収入が減る一方で固定資産税は毎年必ず発生するため、医療費・介護費などの突発的支出が重なると、固定資産税の支払いが難しくなることも十分にあり得ます。

2:親族から不動産を相続した

両親などの親族から不動産を相続すると、思いがけず固定資産税の負担が発生し、家計に影響が出ることがあります。固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税されるため、自分が住んでいない空き家であっても所有者として登録されていれば支払いが必要です。

不動産は容易に一部だけを売って納税資金に充てることができないため、準備がないまま相続すると固定資産税が毎年の負担になりやすくなります。さらに、相続税が発生するケースでは家計への影響が一層大きくなります。

相続を意識し始めた段階で、不動産にかかる税金や固定資産税の金額を早めに確認しておくことが大切です。

固定資産税が払えない場合に起こること丨差し押さえまでの流れ

固定資産税を払えないまま放置すると、状況は少しずつ悪化し、最終的には財産の差し押さえに至るおそれがあります。どのような流れで進むのかを知っておくことは、早めの対処につながります。ここでは、延滞から差し押さえまでの具体的なプロセスを順に説明します。

①延滞金が発生する

固定資産税の納期限を過ぎると、翌日から延滞金が発生します。延滞金は、期限どおりに納めた人との公平性を保つために課されるペナルティで、地方税法第369条によって割合が定められています。

納期限の翌日から1か月以内が年7.3%、1か月を超える期間が年14.6%です。滞納が長引くほど金額は増えるため、早めに対応することが大切です。

②自治体から督促状が届く

納期限までに固定資産税を納めない場合、自治体から督促状が送付されます。地方税法第329条では、納期限から20日以内に督促状を発送することが定められています。

督促について、地方税法第331条には以下のように明記されています。

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市町村民税に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該市町村民税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない。

一 滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して10日を経過した日までにその督促に係る市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。
二 滞納者が繰上徴収に係る告知により指定された納期限までに市町村民税に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。

引用元:地方税法 第331条 市町村民税に係る滞納処分
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つまり、督促状が発送されてから10日以内に納付しなければ、自治体には差し押さえの権限が発生します。督促状を放置すると、納税の意思がないと判断されやすくなり、強制的な財産調査や差し押さえに進む可能性が一気に高まります。

③自治体から催告書が届く

督促状を無視して滞納を続けると、自治体から催告書が送られてきます。催告書は、事実上の最終警告であり「このまま滞納が続けば財産を差し押さえる」という内容が明確に記されています。書面に加えて、電話や職員による訪問が行われることもあります。

催告書が届いた段階では、まだ差し押さえは実行されていません。ただし、ここで何の対応もしないままでいると、次の財産調査へと進み、差し押さえが現実的になるため、早めに行動することが大切です。

④財産調査が行われる

催告にも対応しないままでいると、自治体の徴税吏員によって財産調査が行われます。この調査は滞納者の承諾を必要とせず、強制的に実施されます。

対象は官公署、金融機関、勤務先、取引先など幅広く、預貯金の残高や不動産の所有状況、給与の支給状況まで詳しく把握されます。会社勤めの方の場合、勤務先に滞納の事実が知られてしまう可能性があり、社会的信用を損なうリスクも生じます。

⑤財産を差し押さえられる

財産調査で差し押さえ可能な財産が確認されると、自治体は地方税法第373条に基づき差し押さえを実行します。

【差し押さえの対象】

  • 不動産(強制退去)
  • 預貯金
  • 給与
  • 動産(現金、貴金属、自動車など)
  • 保険の解約返戻金

一方で、国税徴収法により衣服や寝具、3か月分の食料といった生活必需品は差し押さえが禁止されています。

また、国民年金・厚生年金の差し押さえも法律で禁止されているため、差し押さえ時点で受け取り予定の年金は対象外です。ただし、すでに受け取った年金は預貯金として差し押さえの対象になるため注意しましょう。

不動産や動産は公売にかけられ、売却代金が滞納税の支払いにあてられます。自宅が公売にかけられた場合、買い手がつけば強制的に退去しなければなりません。公売は任意売却より売却価格が下がりやすいため、この段階に入る前に対応することがとても重要です。

老後に固定資産税が払えない場合の対処法

固定資産税を払えない状況になっても、適切に対処すれば改善できる可能性があります。重要なのは、放置せずに早めに行動することです。ここでは、自治体への相談から資金調達まで、現実的に取り得る対処法を順に説明します。

まずは自治体の窓口に相談する

固定資産税の支払いが難しくなったときは、まず自治体の窓口に相談することがもっとも重要です。督促状や納付書には担当窓口の連絡先が記載されているため、できるだけ早く連絡しましょう。とくに重要なのは「納税する意思がある」と明確に伝えることです。

督促状や催告書を放置すると、納税の意思がないと判断され、差し押さえに進む可能性が一気に高まります。放置せず早めに相談すれば、分納や減免、徴収猶予などの制度を利用できる可能性があり、担当者から状況に合った対処法を提案してもらえます。

救済措置を利用する

自治体に相談すると、状況に応じて次のような5つの救済措置を利用できる可能性があります。

【分納】
固定資産税を分割して納める方法です。通常は年4回払いですが、自治体によっては毎月払いなど、より細かい分割に変更できる場合があります。分割回数は相談の上で決まります。

ただし、分納が認められた後に滞納し、計画通りに納税できないと差し押さえのリスクが生じます。

【徴収猶予】
病気やケガ、廃業、災害などで納付が難しい場合、原則1年を限度に徴収が猶予されます。猶予期間中は延滞金が全部または一部免除され、新たな督促や差し押さえも行われません。すでに財産が差し押さえられている場合でも、申請すれば解除される可能性があります。

【減免】
支払う税額そのものを軽減または免除する制度です。生活保護受給者、65歳以上で生活に困っている方、障がい者で生活困窮者、災害被害を受けた方などが主な対象です。適用条件は自治体ごとに異なるため、事前の確認が必要です。

【換価の猶予】
すでに差し押さえを受けている財産の売却を一時的に猶予する制度です。納税すると生活の維持が難しくなる場合に認められ、原則1年間の猶予を受けられます。猶予期間中は延滞金が軽減されますが、財産目録や収支明細書の提出、担保の提供が必要になります。

以下は、静岡市の換価の猶予申請可能な対象者についての情報です。

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換価の猶予
市税を一時に納付することによって事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあり、
かつ、納税に対する誠実な意思を有すると認められる場合は、猶予を受けようとする市税の
納期限から6か月以内に申請することにより換価の猶予が認められる場合があります。
※申請する市税以外の市税に滞納がある場合は、原則、換価の猶予の申請はできません。

引用元:静岡市|猶予の申請手引き
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【滞納処分の停止】
滞納処分によって生活が著しく困難になる場合に適用される制度です。認められると滞納税の支払い義務はなくなりますが、要件は非常に厳しく、適用例は多くありません。

要件は以下の通りです。

  • 滞納処分をすることができる財産がないとき
  • 滞納処分をすることによつてその生活を著しく窮迫させるおそれがあること
  • その所在及び滞納処分をすることができる財産がともに不明であること

出典:税務研究会「地方税法 第15条の7 滞納処分の停止の要件等」

不動産を売却する

分納や徴収猶予を利用しても固定資産税の支払いが難しい場合は、不動産を売却する方法もあります。売却して所有権が買主へ移れば、その時点で固定資産税の納税義務はなくなります。

売却によってまとまった資金を得られれば、滞納税の支払いだけでなく、当面の生活費を確保できる点も大きなメリットです。

また、公売と比べて通常の不動産取引の方が高く売れる可能性が高いため、早めに不動産会社へ査定を依頼することが大切です。ただし、1月1日以降に売却した場合は、その年の固定資産税が原則として売主負担になる点には注意しましょう。

リースバックを利用する

住み慣れた自宅を手放したくない場合は、リースバックという方法があります。リースバックとは、自宅を一度売却し、その後は家賃を支払うことで同じ家に住み続けられる仕組みです。

リースバックのメリットは、所有権が買主に移転するため「固定資産税の支払い義務がなくなる点」です。不動産会社が買主となるケースが多く、比較的短期間で売却できるのも特徴です。

一方で、売却価格が市場価格より安くなる傾向があり、賃料が周辺相場より高くなる可能性があるデメリットがあります。賃貸借契約には期間があり、更新できない可能性もあります。買い戻しを希望しても売却時より高い価格が提示される場合があり、確実に買い戻せるわけではない点に注意が必要です。

リバースモーゲージを利用する

リバースモーゲージは自宅を担保にした借り入れであり、リースバックと異なり所有権は移転しません。自宅の所有権を維持したまま資金調達できるのが特徴で、生存中は利息のみを支払えばよいため毎月の負担を抑えられます。

さらに、資金使途は原則自由で、老後の生活費や固定資産税の支払いにも利用可能です。また、一定の条件を満たせば配偶者が契約を引き継げるケースもあります。

不動産担保ローンを利用する

不動産担保ローンは、土地や建物を担保にして資金を借りる方法です。不動産を手放さずにまとまった資金を確保でき、資金使途も原則自由なのが特徴です。

【利用できる主な目的】

  • 固定資産税の支払い
  • 生活費・医療費
  • 事業資金
  • 他の税金の納付など

無担保ローンより低金利で、長期返済計画を立てやすい点もメリットです。

固定資産税の支払いをはじめ、生活費、事業資金、ほかの税金の納付など、幅広い目的に利用できます。無担保ローンより低金利で借りられ、長期の返済計画を立てやすいのもメリットです。

とくに注目すべきなのは、固定資産税を滞納している場合でも融資を受けられるケースがあることです。

金融機関によっては、滞納明細や納付書を提出し、融資金を納税に充てることを条件に借り入れが認められる場合があります。審査が順調に進めば最短2日程度で融資を受けられることもあり、督促状が届いて急いで納税したい状況にも対応できます。

ただし、借りたお金は返済が必要で、返済できない状態が続くと担保不動産が処分されるリスクがあります。

【利用時の注意点】

  • 借りた資金は当然返済が必要
  • 返済不能が続くと担保不動産が処分されるリスクあり
  • 収支に無理のない範囲で計画的に利用することが重要

不動産担保ローンは、自宅を手放さずに迅速かつ柔軟に資金調達ができるため、老後の固定資産税問題に悩む方にとって有力な選択肢といえます。

こちらの記事では、納税資金について解説しています。
納税資金の種類や資金不足の際の対処法も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

老後に固定資産税が払えなくなる状況は、年金生活への移行や不動産の相続など、誰にでも起こり得る問題です。滞納すれば延滞金の発生から督促、財産調査へと進み、最終的に差し押さえに至る可能性がありますが、早めに対処すれば回避できます。

【差し押さえ回避のために】

  • 督促を放置しない
  • 滞納前に早めに相談する
  • 使える制度を把握する

まずは自治体へ相談し、納税の意思を示すことが重要です。分納や徴収猶予、減免などの救済措置が利用できる場合があります。より根本的に資金を確保したい場合は、不動産の売却、リースバック、リバースモーゲージ、不動産担保ローンといった選択肢も検討できます。

とくに不動産担保ローンは、自宅を手放さずに資金調達できる有力な方法です。ワコーファイナンスでは無料のスピード査定を実施しており、融資が可能か迅速にご確認いただけます。

老後の生活を守るためにも、固定資産税の問題は放置せず、早めの対応を心がけましょう。固定資産税でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

ワコーファイナンスでは、資金使途自由の不動産担保ローンをご検討中の方に向けてお試し診断を承っております。

 

本記事は正確な情報を掲載するよう努めておりますが、 情報が古くなったりすることもあり、必ずしもその内容の正確性を保証するものではございません。 当該情報に基づいて被った損害については責任を負いかねます。

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岐阜県の方でしたが、仕事場が名古屋市内との事で当社を選んでいただき、ありがとうございました。

相続税が払えない!滞納ペナルティと分割・物納などの対処法を解説

お役立ち情報 2026/02/05

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実家の土地や建物を相続したものの、相続税の支払いに充てられる十分な現金がない。
このような状況に直面し、納付期限が迫るなかで不安を抱えている方もいるでしょう。

とくに不動産が主な相続財産の場合は「売却に時間がかかる」「まとまった預貯金がない」などの理由から、納付期限が迫るほど不安が大きくなりがちです。

相続税は、原則として現金での一括納付が求められます。延納や物納といった公的制度もありますが、利用には厳しい要件があり、準備にも時間がかかるため、誰でも活用できる方法とはいえません。

本記事では、相続税が払えないときに考えるべき具体的な対処法を整理し、納税期限を守るためにどのような選択肢があるのかを分かりやすく紹介します。

相続税が払えないときによくある状況

相続税の納付が難しくなる状況は、とくに珍しいことではありません。相続財産の構成や相続人の事情によっては、必要な現金をすぐに確保できない場合が生じます。

ここでは、代表的な2つのケースを取り上げて説明します。

相続財産に相続税を支払えるだけの現金がない

相続財産の多くが不動産や非上場株式といった、換金しにくい資産で占められている場合、相続税の納付は難しくなります。たとえば被相続人が不動産投資を行っていた場合、土地や建物の評価額が高くても、手元に現金がなければ納税資金が不足します。

自宅だけを相続した場合も同様で、評価額に応じて相続税が課税されるものの、自宅をすぐに売ることはできません。そのため、相続人が自身の預貯金から納税資金を用意しなければならず、負担が一気に重くなることがあります。

非上場株式を相続する場合も悩ましい点です。中小企業のオーナーが亡くなると、自社株の評価額が高額になることがありますが、株式を簡単に売却できないため、多額の相続税を抱えるケースが少なくありません。

遺産分割協議がまとまらず預金が凍結されている

被相続人が亡くなった事実を金融機関が知った時点で、原則として口座は凍結されます。遺産分割協議がまとまり、相続人全員の同意がそろうまでは、預貯金を引き出すことができません。

相続人が複数いる場合、遺産の分け方について意見が食い違うこともあります。協議が長引くと、申告期限までに預貯金を動かせず、納税資金を確保できない事態に陥ることがあります。

相続税の納付期限は「相続発生を知った翌日から10か月以内」

相続税の納付には、明確な期限があります。被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から起算して10か月以内に、申告と納付を終える必要があります。

10か月と聞くと、余裕があるように感じるかもしれません。しかし、実際には遺産の調査や評価額の算定、遺産分割協議、相続登記など、さまざまな手続きを並行して進める必要があります。そのため、思った以上に時間が足りなくなることが多いのです。

相続税は原則、現金での一括納付が求められます。分割払いや物で納める方法を利用したい場合も、申請は納付期限内に行わなければなりません。

期限を過ぎてしまうとペナルティが発生します。相続が発生したら、できるだけ早く財産の把握と相続税額の試算を行い、納税資金の準備に向けて動き始めることが大切です。

出典:国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm

【注意】納付書は送付されない

相続税は自己申告納税方式を採用しています。固定資産税や住民税のように、税務署から納税通知書や納付書が届く仕組みではありません。

納付書は税務署または金融機関の窓口で入手できます。その後、相続人自身が相続財産を調べ、相続税額を計算し、申告書を作成して税務署へ提出する必要があります。

このように通知が届かないため、申告と納付が必要であることに気づかず、期限を過ぎてしまうケースも見られます。なお、相続財産が一定額を超える場合には、税務署から「相続税についてのお尋ね」という書類が届くこともあるでしょう。

いずれにしても、通知を待っていると期限を超過し、思わぬペナルティを受けるおそれがあります。早めの行動を心がけることが大切です。

相続税を払えないとどうなる?課されうる4つのペナルティ

相続税を期限内に納付できない場合、いくつかのペナルティが発生します。期限を過ぎると延滞税などが加算され、放置期間が長くなるほど負担が増えてしまいます。

状況によっては、税務署から納付の相談を求められることもあるため、早めに方針を決めて動き始めましょう。

加算税や延滞税が発生する

相続税の申告や納付が遅れると、本来の税額に加えて加算税や延滞税が発生します。申告期限までに申告しなかった場合は無申告加算税が課され、自主的に申告すれば5%ですが、税務署から指摘を受けた後では15%から20%に上がります。

申告していても税額を少なく申告していた場合は過少申告加算税が発生し、財産隠しなどの悪質な行為があると重加算税として35%から40%が適用されることもあります。

延滞税は納付期限の翌日から発生し、延滞税率は年によって変動しますが、例えば令和6年(2024年)においては、期限後2か月以内が年2.4%、2か月超は年8.7%です。

例)相続税1,000万円を1年遅れて納付すると、延滞税だけで80万円以上に膨らむ

加算税も延滞税も、納付するまで増え続ける点に注意しましょう。

相続税を軽減する特例や控除を利用できなくなる

相続税には、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など、税負担を大きく抑えられる制度があります。ただし、いずれも申告期限内に遺産分割を済ませ、正しく申告することが利用の前提です。

配偶者の税額軽減では、配偶者が相続した財産について「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のどちらか高い方までは相続税がかかりません。小規模宅地等の特例は、自宅や事業用の土地について、一定の条件を満たせば評価額を最大80%減額でき、自宅の場合は330㎡まで対象になります。

一方、遺産分割が期限内にまとまらなければ、これらの特例を使えず、本来は負担しなくてよい相続税が発生します。期限内に準備を進めることが非常に重要です。

出典:国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4158.htm

財産を差し押さえられる

相続税の納付を長期間放置してしまうと、税務署から段階的に通知が届きます。実際には、いきなり差し押さえに進むことはなく、複数のステップを踏んで納付や相談の機会が設けられます。

【差し押さえに至るまでの主な流れ】
1.督促状の送付
2.電話や面談による連絡
3.最終督促状・差押予告書の送付
4.財産の差し押さえ(強制徴収)

国税徴収法では、税務署が裁判所の許可を得ずに財産を差し押さえる権限を持っています。対象となるのは不動産、預貯金、給与、自動車、株式など、広い範囲に及びます。

差し押さえられた不動産は公売にかけられますが、公売では市場価格より低い金額で売却されることが多く、大切な財産を失うだけでなく、金銭面の損失も避けられません。

督促状が届いた段階で放置せず、早めに税務署へ相談することで、納付方法の見直しや支払い計画の調整ができる可能性があります。

ほかの相続人が督促される

相続税には連帯納付義務があり、同じ被相続人から遺産を受け取った相続人全員が、お互いの相続税について連帯して納付する責任を負います。

たとえば兄弟3人が相続人で、そのうち1人が相続税を滞納した場合、残りの2人にも督促が届く可能性があります。連帯納付義務の対象となる金額は、各相続人が取得した遺産の価額から、すでに納付した相続税額を差し引いた範囲とされています。

自分は期限内に納付していたとしても、他の相続人の滞納によって督促を受けるケースがあるため注意が必要です。家族間のトラブルを避けるためにも、相続税は期限内に確実に納付することが重要です。

相続税を払えない場合の対処法

相続税の納付が難しい状況に直面しても、取れる対処法はいくつかあります。大切なのは、自分の状況に合った方法を選び、納税期限内に確実に対応することです。

延納制度を利用する

延納制度は、相続税を一括で納めることが難しい場合に利用できる年賦(分割払い)の制度です。

条件 ・税額10万円超
・金銭一括納付が困難
・担保が必要
延納期間 原則5年、状況により最長20年
延納利子税 あり

相続税額が10万円を超え、金銭での一括納付が困難である場合、担保を提供することで申請可能です。延納が認められるには、延納申請書を納期限までに所轄の税務署に提出し、原則として担保を提供する必要があります。

ただし、延納税額が100万円以下かつ延納期間が3年以内の場合は、担保の提供が不要になる特例もあります。

延納期間は原則5年ですが、相続財産に占める不動産などの割合に応じて、最長15年または20年まで延長が可能です。

また、延納には利子税がかかり、利率は相続財産の内容や市中の金利水準に応じて変動します。国が定める「延納特例基準割合」をもとに「特例割合」が適用され、この割合は年によって変動するため、事前に所轄の税務署で確認する必要があります。

出典:国税庁「第38条《延納の要件》関係」

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/06/01.htm

物納制度を利用する

物納制度は、延納を利用しても相続税を金銭で納付することが難しい場合に、相続財産そのものを納付に充てられる制度です。

ただし、物納が認められるためには非常に厳しい要件を満たす必要があります。延納でも納付できないことが前提となるため、物納は延納よりもさらにハードルが高く、最終手段という位置づけになります。

物納に充てられる財産には優先順位が定められており、第1順位には国債、地方債、不動産、船舶、上場株式などが含まれます。原則としてこの順に従って物納しなければならず、相続人が自由に財産を選ぶことはできません。

また、物納は相続税評価額で計算されるため、時価より低い値で納付します。とくに小規模宅地等の特例を適用した土地では、時価の2割から5割程度しか評価されない場合もあります。

【物納制度のポイント】

  • 延納でも払えない場合の最終手段
  • 厳しい要件がある
  • 優先順位あり(国債→不動産→上場株…)
  • 評価額は相続税評価のため時価より低いことが多い

このように要件が非常に厳しいことから、物納が実際に認められるケースは多くありません。現実的には、不動産を市場で売却して現金化するほうが有利となるケースが大半です。

相続財産を売却して現金化する

相続した不動産や株式を売却して現金化し、その代金で相続税を納付する方法は、もっとも確実な対処法のひとつです。

不動産を売却するには、まず相続登記を済ませる必要があります。被相続人名義のままでは売却できないため、早めに名義変更の手続きを進めることが大切です。

ただし、不動産の売却には時間がかかります。通常は2か月から3か月、状況によってはさらに長引くこともあり、納付期限を考えると早期の売却活動が欠かせません。

また、不動産の売却では譲渡所得税がかかる可能性があります。ただし、相続税の申告期限の翌日から3年以内に相続した財産を売却した場合は、相続税の取得費加算の特例が利用でき、譲渡所得税の負担を抑えられることがあります。

金融機関から借り入れる

金融機関から融資を受けて、納税資金を確保する方法もあります。

無担保のフリーローンやカードローンを利用するケースが考えられますが、相続税は高額になることが多く、無担保ローンの融資限度額では足りないケースもあるでしょう。

無担保ローンの融資限度額は、一般的に数百万円程度が上限です。さらに金利も年10%から15%ほどと高めで、相続税の延納制度でかかる利子税と比べると、負担が大きくなる点は避けられません。

相続税が高額になり、短期間で資金を準備する必要がある場合には、担保を確保できる不動産担保ローンが選択肢に入るケースもあります。 不動産の評価額に応じて融資枠が設定されるため、まとまった資金にも対応しやすい点がメリットです。

こちらの記事では、納税資金について解説しています。
納税資金の種類や資金不足の際の対処法も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

不動産担保ローンを利用する

相続した不動産を担保にして融資を受ける不動産担保ローンは、高額になりやすい相続税の納税資金を確保するうえで有効な方法です。

不動産担保ローンの大きな強みは、融資限度額の大きさにあります。担保となる不動産の評価額に応じて、数千万円から億単位の資金を借りられることもあり、高額な相続税にも対応できます。

金利が比較的低い点もメリットです。無担保ローンと比べると金利が抑えられ、返済期間も長めに設定できるため、月々の返済負担を軽くできます。

さらに、資金の使い道が原則自由である点も魅力です。相続税の納税資金だけでなく、遺産分割の代償金、不動産の修繕費用など、相続にまつわるさまざまな支出に対応できます。

審査にかかる期間も、納税期限が迫る状況では欠かせません。不動産担保ローンを専門に扱う金融機関のなかには、最短2日で融資を実行できるところもあり、相続税の納付期限が迫っている場合に検討しやすいサービスもあります。

ただし、返済が滞ると担保に設定した不動産を失う可能性があります。無理のない返済計画を立てたうえで、慎重に利用することが大切です。

【不動産担保ローンのポイント】

  • 不動産の評価額に応じて、まとまった資金を借り入れられる可能性がある
  • 無担保ローンよりも金利が抑えられることが多い
  • 相続税の支払いを含む幅広い用途で利用できる
  • 審査期間は金融機関により異なるが、比較的早めに対応している会社もある
  • 返済計画を立てて利用することが前提

相続した不動産を近いうちに売却する予定がある場合は「売却中の不動産」を担保にして融資を受けられるサービスもあります。売却活動を進めながら先に納税資金を確保できるため、期限に追われず、適正な価格での売却を目指せます。

ワコーファイナンスでは、資金使途自由の不動産担保ローンをご用意しています。相続税の納税資金にお困りの方には、最短2日での融資実行が可能です。お急ぎで資金が必要な方も、まずはお気軽にご相談ください。

預貯金の仮払いを利用する

遺産分割協議がまだまとまっていない場合でも、一定の範囲で被相続人の預貯金を引き出せる制度があります。

項目 内容
法的根拠 民法909条の2
引出可能額 残高×1/3×法定相続分または150万円の低い方
注意点 利用すると相続放棄できない可能性あり

民法第909条の2に基づくこの制度では、各相続人が単独で引き出せる金額が定められています。具体的には「口座ごとの預貯金残高×1/3×法定相続分」または「150万円」のいずれか低い方の金額です。

この上限は金融機関ごとに適用されるため、複数の金融機関に口座がある場合は、それぞれから引き出すことで、より多くの資金を確保できます。

注意したいのは、仮払い制度を利用して預貯金を引き出すと、相続放棄ができなくなる可能性があることです。預貯金を引き出した時点で相続を承認したとみなされるケースがあるため、慎重に判断する必要があります。

出典:WIKIBOOKS「民法第909条の2」

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E6%B3%95%E7%AC%AC909%E6%9D%A1%E3%81%AE2#%E5%8F%82%E7%85%A7%E6%9D%A1%E6%96%87

納税分だけ先に分割協議する

遺産分割協議が難航している場合でも、相続税の納税資金にあたる部分だけを先に分割することで、納税期限内に申告と納付を済ませる方法があります。

まずは遺産のなかでも分割しやすい現預金について、相続税額に応じた金額を各相続人に配分します。これにより、それぞれが自分の相続税を納めるための資金を確保でき、期限を守ることが可能です。

この方法のメリットは、不動産や株式など分割が難しい財産については、納税後に時間をかけて協議できることです。まずは納税を済ませてペナルティのリスクを回避し、そのうえで残りの遺産についてじっくり話し合えるため、現実的な選択肢といえます。

相続放棄をする

相続放棄は、相続に関する一切の権利を放棄する手続きです。相続放棄をすると、プラスの財産もマイナスの財産も相続しなくなり、相続税の納付義務も発生しません。

相続財産に多額の借金が含まれている場合や、相続税を納める資力がなく、財産を引き継いでも維持費や管理費が重い負担になる場合には、相続放棄を検討する価値があります。

相続放棄を行うには、自分が相続人であることを知った日から3か月以内に、家庭裁判所へ申述書を提出する必要があります。

注意したいのは、相続放棄は一度手続きをすると撤回できないことです。後から予想外の財産が見つかったとしても、それを相続することはできません。慎重に判断することが求められます。

相続税の負担を軽減する方法

相続税が払えない状況に陥る大きな要因は、生前の準備が不足していることにあります。あらかじめ適切な対策を講じておけば、相続税の負担を軽くし、納税資金を無理なく確保することができます。

控除や特例制度を利用する

相続税には、税負担を抑えるための控除や特例がいくつも用意されています。

代表的なものが配偶者の税額軽減です。配偶者が相続した財産については、「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」のどちらか高い方までは相続税がかからない制度です。

また、小規模宅地等の特例も大きな効果があります。被相続人が住んでいた自宅の土地や事業用の土地について、一定の条件を満たすと評価額を最大80%まで減額できます。とくに自宅の土地であれば、330㎡まで80%減額が可能です。

ただし、これらの特例を利用するには、申告期限までに遺産分割を済ませ、適切に申告することが欠かせません。期限内に準備するためにも、早めの対応が重要になります。

出典:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

生前贈与を行う

生前贈与は、相続財産を減らして相続税の負担を軽減する有効な方法です。被相続人が生前に財産を相続人へ贈与しておくことで、将来の相続税の対象となる財産をあらかじめ減らすことができます。

暦年贈与では、年間110万円までの贈与が非課税となります。毎年少しずつ贈与を続ければ、長期的には多くの財産を非課税で移転することが可能です。

ただし、贈与が形式的で実質的に相続財産とみなされる「名義預金」と判断されないよう、資金移動の記録や管理を適切に行う必要があります。

また、教育資金の一括贈与や住宅取得資金の贈与など、使い道が決められた贈与には、より大きな非課税枠が設けられています。

これらの特例は、受贈者の年齢・所得・住宅の条件など細かい要件を満たす必要がありますが、条件に合えばまとまった資金を非課税で生前に移転できるため、相続税対策として非常に有効です。

出典:国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htm

法定相続人を増やす

法定相続人の数が増えると、相続税の基礎控除額も増えます。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されるため、法定相続人が1人増えるたびに600万円控除額が増加します。

そのため、養子縁組によって法定相続人を増やすことで、基礎控除額を引き上げ、相続税の負担を抑えることができます。ただし、相続税の計算上、法定相続人として認められる養子の数には上限があります。実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までです。

制度を利用する際は、この点を理解したうえで慎重に検討することが大切です。

生命保険の非課税枠を活用する

生命保険金には「500万円×法定相続人の数」という非課税枠が設けられています。被相続人があらかじめ生命保険に加入し、相続人を受取人に指定しておくことで、この非課税枠を活用できます。

生命保険金は相続発生後にすぐ受け取れるうえ、現金化も容易です。そのため、相続税の納税資金を事前に準備する方法として、とても有効な手段といえます。

まとめ

  • 相続税が払えないケースは珍しくない
  • 期限を過ぎると加算税・延滞税・差押などのリスク
  • 延納・物納は要件が厳しく万人向けではない
  • 不動産担保ローン・財産売却など、期限内に確実に資金確保を
  • 生前対策(特例、贈与、保険)で負担を大きく抑えられる

相続税が払えない状況は珍しくありません。相続財産の多くが不動産であったり、遺産分割協議が長引いたりすると、納税資金を用意できないことがあります。相続税を期限内に納付できないと延滞税や無申告加算税が発生し、最悪の場合は財産を差し押さえられるおそれもあります。

延納や物納といった制度もありますが、要件が厳しく、手続きにも時間がかかるため、確実な方法とはいえません。そこで有効なのが不動産を活用した資金調達です。不動産担保ローンなら、不動産を手放さずに迅速にまとまった資金を確保できます。

ワコーファイナンスでは、相続税の納税資金に対応した不動産担保ローンを提供しており、最短2日での融資も可能です。お急ぎの方や銀行審査が不安な方も、まずはお気軽にお試し診断をご利用ください。

ワコーファイナンスでは、資金使途自由の不動産担保ローンをご検討中の方に向けてお試し診断を承っております。

本記事は正確な情報を掲載するよう努めておりますが、 情報が古くなったりすることもあり、必ずしもその内容の正確性を保証するものではございません。 当該情報に基づいて被った損害については責任を負いかねます。

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静岡県 静岡市駿河区 60代 男性 (事業資金)

急な出費があり、買掛金の支払いが困難で相談しました。早急に対応していただき、大変
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