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創業融資は自己資金なしでも受けられる!制度と通過のポイントを解説

お役立ち情報 2025/10/01

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起業を考えているものの、自己資金が十分に準備できずに悩んでいませんか?

「自己資金がなければ創業融資は受けられない」と諦める必要はありません。実は、自己資金の要件が設定されていない融資制度もあり、事業計画の内容次第では融資を受けられる可能性があります。

この記事では、自己資金なしでも申し込める創業融資制度や審査を通過するためのポイント、注意点について詳しく解説します。

自己資金なしでも創業融資を受けられる可能性がある!

結論から言えば、自己資金がなくても創業融資を受けることは可能です。

多くの起業希望者は「自己資金がなければ融資は受けられない」と考えがちですが、これは必ずしも正しくありません。その理由は、自己資金の要件が設けられていない融資制度が存在するからです。

事業計画の内容によっては、自己資金不足を補い、審査通過の可能性を高められます。

たとえば、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」には自己資金に関する要件がありません。2024年3月31日をもって「新創業融資制度」が廃止され、現在は自己資金なしでも申し込めるようになっています。

ただし注意点として、自己資金がゼロの場合、希望した金額よりも融資額が減額される可能性があります。実際、日本政策金融公庫総合研究所の「2024年度新規開業実態調査」によれば、創業資金総額に占める自己資金の割合は24.5%という結果が出ています。

出典:日本政策金融公庫総合研究所「2024年度新規開業実態調査」

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kaigyo_241127_1.pdf

そもそも自己資金とは

自己資金とは、簡単に言えば「自分の手元にあり、自由に事業資金として活用できる資産」のことを指します。一般的には現金や銀行口座にある預貯金を思い浮かべる方が多いですが、それだけに限りません。

不動産や株式、保険の解約返戻金、さらには事業に直接利用できる設備や機材なども、条件によっては自己資金として評価される場合があります。つまり「換金性や活用可能性があるかどうか」が重要な判断基準になるのです。

金融機関にとって自己資金は、融資を判断するうえで欠かせない指標です。なぜなら、自己資金の有無は、起業に対する本気度や計画性、さらにはリスク管理の力を見極める材料になるためです。

十分な自己資金を蓄えている人は、事業が軌道に乗るまでの資金繰りに耐えられる力があり、また万一のトラブルにも冷静に対応できると判断されやすいのです。

自己資金に該当する資産

自己資金として認められる主な資産は、以下のとおりです。

  • 現金・預貯金:銀行や郵便局の口座にある預貯金で、通帳などにより出所が確認できるもの。
  • 退職金:勤務先から受け取る退職金。受け取り予定の場合も、証明書類があれば自己資金として認められることがあります。とくに60歳前後の起業では重要な資金源です。
  • 生命保険の解約返戻金:積立型生命保険を解約して得られる資金。
  • 相続・贈与で取得した資金:正式な手続きを経て受け取った相続・贈与資金。
  • 資産売却による資金:不動産、車、有価証券などを売却して得た資金。
  • みなし自己資金:開業準備段階で支出した費用(例:設備購入費、店舗保証金など)。領収書で証明できるものに限られます。
  • 第三者割当増資:法人設立時に投資家から受けた出資金。

自己資金に該当しない資産

一方で、次のようなお金は自己資金には含まれません。

  • ほかの金融機関からの借入金:消費者金融やカードローンなどの借入金は負債であり、自己資金にはならない。
  • 親族・知人からの借入金:無利息であっても返済義務があるため、自己資金とは認められない。
  • タンス預金:現金であっても出所を証明できないものは自己資金にならない。

また「見せ金」と呼ばれる一時的に借りたお金を預金残高に見せかける行為は、詐欺罪に問われる可能性があるため、絶対に避けましょう。

自己資金なしでも申し込める創業融資の種類

「自己資金がないと融資は受けられないのでは?」と不安に思う方も少なくありません。確かに多くの金融機関では自己資金を重視しますが、なかには自己資金がなくても申し込みが可能な創業融資の制度も存在します。

公的な融資制度を中心に、具体的な概要と特徴を詳しく見ていきましょう。

日本政策金融公庫の制度

政府系金融機関である日本政策金融公庫は、創業支援に積極的で、ほかの金融機関に比べて創業期の事業者でも利用しやすいのが特徴です。

新規開業・スタートアップ支援資金

「新規開業・スタートアップ支援資金」は、新たに事業を始める方や、事業開始からおおむね7年以内の方を対象とした融資制度です。

重要な変更点として、2024年3月31日をもって「新創業融資制度」が廃止されました。これにより、以前『新創業融資制度』と併用することで適用されていた自己資金要件が撤廃され、日本政策金融公庫の各種融資制度が無担保・無保証人で利用しやすくなっています。

現在は「新規開業・スタートアップ支援資金」として運用されています。「新規開業・スタートアップ支援資金」は自己資金要件が設けられていないため、自己資金なしでも申し込むことが可能です。

制度の概要は以下のとおりです。

  • 融資限度額:7,200万円(うち運転資金は4,800万円まで)
  • 返済期間:設備資金は20年以内、運転資金は10年以内
  • 据置期間:最長5年
  • 担保・保証人:原則として不要

さらに、女性、35歳未満または55歳以上の方、廃業歴がある再挑戦者などは、基準金利から0.4%優遇されます。たとえば60歳の起業家であれば、シニア枠として優遇金利の対象になる可能性があります。

出典:日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」

https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html

中小企業経営力強化資金

「中小企業経営力強化資金」は、新たな事業分野への挑戦を支援するための融資制度です。
要件次第では融資限度額が7億2,000万円と大きく、条件を満たせば特別利率が適用される場合もあります。

利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 経営革新や異分野の中小企業との連携を通じて、新事業分野の開拓や市場の創出を行うこと
  • 認定経営革新等支援機関(税理士、公認会計士、中小企業診断士、商工会議所など)から指導・助言を受けていること
  • 具体的な事業計画書を策定していること

認定経営革新等支援機関のサポートを受けることで、事業計画の質が高まり、融資審査の通過率も向上しやすくなります。

出典:日本政策金融公庫「中小企業経営力強化資金」

https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/64_t.html

挑戦支援資本強化特別貸付

「挑戦支援資本強化特別貸付」は、いわゆる資本性ローンと呼ばれる特殊な融資制度です。

  • 融資限度額:小規模事業者・個人事業主は最大7,200万円、中小企業は1社あたり最大15億円
  • 金利:業績に連動する変動型

最大の特徴は、借り入れた資金が他の金融機関の財務評価上「負債」ではなく「自己資本」とみなされる点です。そのため、将来的に追加融資を受けやすくなり、資金調達の幅を広げる効果があります。

出典:日本政策金融公庫「挑戦支援資本強化特別貸付(資本性ローン)」

https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/57_t.html

制度融資(信用保証協会の保証付き融資)

制度融資とは、地方自治体・金融機関・信用保証協会が連携して実施する融資制度です。

地方自治体の制度融資

各地方自治体では、独自の創業融資制度を設けている場合があります。

例として、東京都の「東京都中小企業制度融資『創業』」は以下の内容です。

  • 融資限度額:3,500万円
  • 金利:担保の有無によって2~3%の中で変動
  • 担保・保証人:原則として不要

利用要件は次のとおりです。

  • 現在事業を営んでいない個人で、具体的な創業計画を持つ方
  • 創業から5年未満の中小企業者等
  • 分社化を予定している会社、または分社化により設立されてから5年未満の会社

ただし、制度の内容は自治体ごとに異なります。利用を検討する際は、起業予定地の自治体に確認することが不可欠です。

出典:東京都創業NET「東京都中小企業制度融資『創業』」

https://www.tokyo-sogyo-net.metro.tokyo.lg.jp/finance/seido_yuushi.html

出典:東京信用保証協会「都創業融資」

https://www.cgc-tokyo.or.jp/institution/sougyo_seido.html

金融機関の創業融資

地方銀行や信用金庫のなかには、創業に特化した融資商品を取り扱っているところがあります。主な例としては以下のとおりです。

  • きらぼし銀行:「創業サポートローン」/500万円以内
  • 中国銀行:「ちゅうぎん新規創業融資制度 結希」/3,500万円以内
  • 城南信用金庫:「創業・起業者向け協調融資Approach」/5,000万円以内

ただし、民間金融機関の場合は自己資金なしでの融資審査は難しくなる傾向があります。そのため、融資を希望する際には、とくに説得力のある事業計画書の作成が不可欠です。

出典:きらぼし銀行「創業サポートローン」

https://www.kiraboshibank.co.jp/hojin/choutatsu/sougyou.html

出典:中国銀行「ちゅうぎん新規創業融資制度 結希」

https://www.chugin.co.jp/business/service/financing/jigyosha/yuki/

出典:城南信用金庫「創業・起業者向け協調融資Approach」

https://www.jsbank.co.jp/business/service/financing/jfc-abc/approach/

自己資金なしで創業融資審査をクリアするためのポイント

自己資金がない場合でも融資を受けられる可能性はあります。そのためには、事業の実現可能性や経営者としての能力を明確に示し、金融機関を納得させることが不可欠です。

事業計画書を緻密に作り込む

融資審査において、事業計画書は最も重要な判断材料です。自己資金がない場合は、計画書の完成度が審査通過で重要となります。

とくに押さえておくべき記載項目は以下のとおりです。

  • 市場調査にもとづいた客観的な売上予測
  • 資金使途と調達方法の具体性
  • 現実的な収支計画・資金繰り計画
  • 無理のない返済計画

これらを裏付けるために、根拠となるデータをしっかり収集することが重要です。業界統計、競合分析、顧客ニーズ調査などを根拠として盛り込めば、計画書の説得力が大きく高まります。

見込み顧客や既存顧客をアピールする

すでに確保している顧客や具体的な契約がある場合は、必ずアピールしましょう。

【効果的な証明資料の例】

  • 契約書・発注書
  • 業務委託契約書
  • 販売予約書
  • 顧客からの推薦状

これらの資料は、事業の安定性を示す強力な根拠となり、自己資金不足を補う大きな材料になります。

現在働いている会社と同業種で開業する

同業種での実務経験は、金融機関から高く評価されます。事業成功の可能性が高いとみなされるためです。

【アピールポイントの例】

  • 業界での経験年数(目安は6年以上)
  • 勤務時代の実績や成果
  • 見込み顧客との関係性
  • 業界特有のノウハウや人脈

会社員として働いてきた経験は、起業を検討している方にとって大きなアドバンテージとなります。

認定支援機関のサポートを受ける

認定経営革新等支援機関のサポートを受けることで、融資審査をより有利に進めることができます。

主なサポート内容は以下のとおりです。

  • 事業計画書作成の支援
  • 資金調達に関するアドバイス
  • 面談対策やプレゼンテーション指導
  • 融資制度の紹介

税理士、公認会計士、中小企業診断士などの専門家が、豊富な経験に基づき的確なアドバイスを提供してくれるため、計画の信頼性と説得力が大きく高まります。

自己資金なしで創業融資を受ける際の注意点

自己資金がない状態で融資を受ける場合には、いくつかのリスクや注意点があります。事前に理解しておくことが重要です。

融資額が少なくなりやすい

自己資金がないと、希望額から減額される可能性が高まります。融資額は一般的に自己資金の3〜4倍程度が目安とされるため、自己資金ゼロの場合は大幅な減額は避けにくいでしょう。

ただし、事業開始前から大口の取引契約があるなど、確実な収益が見込める場合には希望額に近い融資が認められる可能性もあります。

金利が高くなりやすい

次に注意すべき点は「金利」です。自己資金がないと金融機関のリスクが高まるため、通常よりも金利が高く設定されやすくなります。

信用保証協会付きの融資では数%程度上乗せされることもあり、民間金融機関ではさらに高い水準になる場合もあります。金利の違いは長期的に見れば大きな負担となるため、どの制度を利用するかは慎重に検討する必要があります。

入念な返済計画を立ててから申し込む

返済計画を入念に立てることも欠かせません。自己資金がない場合、事業にかかる費用の大半を借入金で賄うことになります。

そのため、事業開始後の売上だけで返済を続けられるよう、現実的な資金繰り計画と返済シミュレーションを準備しておくことが重要です。

日本政策金融公庫では元本返済を猶予して利息のみを支払う「据置期間」を設定できるため、事業が軌道に乗るまでの準備期間として活用するのも有効です。

見せ金は絶対に避ける|詐欺罪に問われるおそれも

融資の審査に通りたい一心で、一時的に資金をかき集めて「自己資金があるように見せかける」行為を考える方もいます。見せ金のような不正行為は絶対に避けなければなりません。

見せ金のリスクとして、詐欺罪(10年以下の懲役)に問われる可能性、金融機関による通帳履歴の詳細確認(6か月分など)、発覚時の融資取り消しや将来的な融資停止があります。

金融機関はこうした手口を熟知しているため、正当で誠実な方法で資金調達を行うことが何よりも大切です。

出典:e-GOV「刑法第246条」

https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045#Mp-Pa_2-Ch_37-At_246

創業のための自己資金を調達する13の方法

自己資金がある方が融資を受けやすいのは事実です。金融機関にとって自己資金は経営者の本気度や計画性を示す材料となるため、資金の有無は審査に大きな影響を与えます。では、自己資金をどのように準備すればよいのでしょうか。

ここでは、創業を目指す人が実際に取り組める具体的な方法を取り上げ、それぞれの特徴や活用の仕方を解説していきます。

不動産などを現物資産として申告する

事業で使用する現物資産を自己資金として申告する方法があります。

対象となるのは、事務所や店舗として利用する予定の不動産や、営業車・配送車として使う車両、さらにはパソコンやOA機器、有価証券などです。

これらの資産は時価相場によって評価されるため、申告にあたっては事前に適正な評価を受けておくことが重要になります。

みなし自己資金を申告する

開業前に事業のために支出した費用を「みなし自己資金」として申告することも可能です。具体的には、事業用設備の購入費や店舗の保証金・敷金、開業準備にかかった研修費、あるいは許認可の取得に必要な費用などが対象となります。

これらを自己資金として認めてもらうためには、領収書や口座引き落としの履歴といった証拠書類をしっかり保管しておくことが欠かせません。

親族から贈与を受ける

親族から資金を「贈与」として受け取った場合、そのお金は自己資金として認められます。ただし、いくつかの注意点があります。

まず、贈与であることを明確にするために贈与契約書を作成する必要があります。さらに、資金の移動は銀行振込によって行い、その記録を残しておくことが求められます。

年間で110万円を超える贈与については贈与税の課税対象となるため、税務上の取り扱いにも注意が必要です。借入と贈与の区別を曖昧にしないよう、必ず正式な手続きを経て受け取ることが大切です。

出典:国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm

共同経営者のサポートを受ける

資金力のある共同経営者とタッグを組むことで、創業時の資金面での課題を解決することができます。

共同経営者の資産を自己資金として活用できるのはもちろん、経営ノウハウや人的ネットワークを共有できる点も大きなメリットです。また、一人ですべてを背負うのではなくリスクを分散できるため、経営の安定性を高める効果も期待できます。

一方で、注意すべき点もあります。役割分担や利益配分をあらかじめ明確にしておかなければ、後々トラブルにつながる可能性があるため、将来的な経営方針についてもしっかり擦り合わせておくことが欠かせません。

信頼関係を築きながら協力できるパートナーを選ぶことが大切です。

副業からはじめて資金を貯める

副業として小さい事業を始め、リスクを抑えながら自己資金を貯めていくのは非常に現実的な方法です。実際の市場で自らのビジネスモデルを試すことができるため、机上の計画では得られない検証の機会となります。

さらに、副業を通じて経験やノウハウを蓄積できるだけでなく、将来的に事業の成長を支える顧客基盤を築くことも可能です。会社員としての安定収入を確保しながら段階的に事業を拡大できる点は、大きな安心材料となるでしょう。

退職金を受け取る

退職金は、創業資金として確実な自己資金源となります。まずは自分が受け取る予定額を把握しておくことが大切であり、そのためには勤務先から証明書類を取得しておく必要があります。

実際に受け取りがまだであっても、証明書があれば「受け取り予定」として申告できる場合があります。また、退職金の受け取り時期を事業開始のスケジュールに合わせて調整することで、資金計画をより柔軟に立てることが可能になります。

資産を売却する

不要な資産を売却して自己資金を確保する方法も有効です。

対象となるのは、自宅以外の投資用不動産や事業で使用しない車両、さらには貴金属や美術品、有価証券などです。これらの売却によって得られる資金は出所が明確であり、返済義務も発生しないため、確実な自己資金として認められます。

保険を解約する

積立型の生命保険を解約し、その解約返戻金を自己資金に充てる方法があります。

利用にあたっては、まず実際にどの程度の解約返戻金が戻ってくるのかを確認することが欠かせません。そのうえで、解約手続きを行うタイミングを事業計画と合わせて調整し、将来の保障が減ることによるリスクについても考慮しておく必要があります。

なお、解約返戻金は口座に入金された時点で初めて自己資金として扱えるため、資金計画上はこの入金時期を意識して動くことが重要になります。

クラウドファンディングを利用する

クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の人々から資金を募る方法です。返済の義務がないため自己資金として活用しやすいだけでなく、市場のニーズを検証する機会となり、同時にマーケティング効果やファンベースの構築にもつながります。

成功させるためには、まず魅力的な事業内容を提示し、支援者にとって納得感のあるリターンを設計することが重要です。さらに、効果的なプロモーションを行い、資金の使い道を透明性高く説明することで、支援者からの信頼を獲得しやすくなります。

ビジネスプランコンテストに参加する

ビジネスプランコンテストへの参加は、賞金の獲得だけにとどまらず、多面的なメリットがあります。受賞すれば賞金や支援金を得られるのはもちろんのこと、応募過程で事業計画をブラッシュアップできる点も大きな利点です。

さらに、審査員となる専門家から直接アドバイスを受けられる機会や、コンテストを通じたメディア露出、さらには投資家との出会いに発展する可能性もあります。

このように、コンテスト参加は資金調達の手段であると同時に、事業成長そのものを後押しする価値ある機会となります。

流動資産担保融資保証制度を利用する

流動資産担保融資保証制度とは、売掛債権や棚卸資産を担保として利用する融資制度です。

具体的には、取引先に対する売掛債権や、在庫として保有している商品などを担保にすることができます。すでに事業を開始している事業者にとっては、資金調達の有効な手段となり得る方法です。

不動産担保ローンを利用する

不動産を担保にした融資は、自己資金が少ない場合に有効な選択肢となります。まとまった資金を調達できるうえ、融資までのスピードが比較的早く、資金の使い道が自由である点が大きな特徴です。銀行からの融資が難しいケースであっても対応できる場合があります。

とくに50〜70代で不動産を所有している方にとっては有力な方法となり得ます。年金収入しかない方や、銀行融資が困難と判断された場合でも、不動産を活用することで資金調達の道が開ける可能性があります。

こちらの記事では、土地担保による融資について解説しています。
メリット・デメリットも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

行政の補助金や助成金を利用する

国や地方自治体が提供する補助金や助成金は、原則として返済不要の資金調達方法です。代表的なものに、ものづくり補助金やIT導入補助金、事業再構築補助金、人材開発支援助成金などがあります。

いずれも事業計画の質や将来性が厳しく審査されるうえ、支給は原則として後払いとなるため、一時的には自己資金を用意しておく必要があります。それでも採択されれば返済の必要がないため、自己資金を確保する有効な手段となります。

自己資金を貯める場合は創業資金総額の20〜25%を目安に

自己資金を準備する際には、どの程度を目安にすればよいのかを把握しておくことが大切です。日本政策金融公庫総合研究所の調査によると、創業資金総額に占める自己資金の割合は24.5%となっています。

たとえば創業資金が1,000万円であれば自己資金は200〜250万円、創業資金が500万円であれば100〜125万円が目安となります。

もちろんこの数値はあくまで一般的な指標にすぎず、事業の内容や規模によって必要な金額は変動しますが、資金計画を立てるうえでの参考には十分活用できます。

日本政策金融公庫への申込み方法

日本政策金融公庫は、創業時に利用しやすい政府系金融機関です。ここでは、実際に申し込みを行う際の具体的な流れや手続きについて解説します。

出典:日本政策金融公庫

https://www.jfc.go.jp/n/finance/flow/tetsudukij_c.html

必要な書類

申込みに必要な主な書類は次のとおりです。

  • 日本公庫電子契約サービス利用申込書(郵送の場合は借入申込書)
  • 創業計画書
  • 設備資金の見積書(設備資金を申し込む場合)
  • 登録事項証明書または登記簿謄本(担保を希望する場合)
  • 本人確認書類

とくに創業計画書は審査の核心となる重要書類です。売上計画や資金計画、返済計画を具体的な数字で示し、根拠となるデータを添付することで、計画の実現性を強くアピールできます。

申し込みの手順

申し込みの手順は以下のとおりです。

1.支店窓口や事業資金相談ダイヤルで相談する
2.支店窓口かWebで申し込み手続きを行う
3.担当者と面談する
4.融資の可否通知を受け取る
5.融資金が銀行口座に振り込まれる

ひとつずつ見ていきましょう。

①支店窓口や事業資金相談ダイヤルで相談する

まずは事前相談を行うことが重要です。相談内容として、融資制度の詳細説明、必要書類の確認、事業計画のアドバイスがあります。

②支店窓口かWebで申し込み手続きを行う

書類を準備して正式な申し込みを行います。申込方法として、支店窓口への直接提出、郵送による提出、インターネット申込みがあります。

③担当者と面談する

面談では事業計画について詳しく説明します。

面談で聞かれる内容として、創業の動機や経緯、事業の具体的な内容、市場分析と競合状況、資金使途と返済計画、過去の経験や実績があります。事業計画書の内容をもとに、具体的で説得力のある説明を心がけましょう。

④融資の可否通知を受け取る

審査結果は書面で通知されます。審査期間として、標準的な審査期間は2〜3週間程度となります。

⑤融資金が銀行口座に振り込まれる

契約手続き完了後、指定口座に融資金が振り込まれます。入金までの期間として、申し込み完了から入金まで、最短でも1か月程度は見込んでおく必要があります。

【補足】金利はどのくらい?

新規開業資金の金利は以下のとおりです。

  • 基準金利:担保あり1.80%〜3.90%、無担保2.90%〜4.40%(税務申告を2期終えていない場合)
  • 特別利率:女性、35歳未満または55歳以上の方は特別利率が適用され、基準金利から0.4%優遇を受けられます。
  • 60歳以上:シニア起業家として特別利率の対象となり、より有利な条件で融資を受けられる可能性があります。

金利は融資額、返済期間、担保の有無によって決定されるため、詳細は申込時に確認してください。

出典:日本政策金融公庫「国民生活事業(主要利率一覧表)」

https://www.jfc.go.jp/n/rate/index.html

まとめ

自己資金なしでも創業融資を受けることは可能です。最も重要なのは、自己資金要件のない融資制度を選択し、事業計画の内容で審査を通過することです。

日本政策金融公庫の新規開業資金をはじめ、中小企業経営力強化資金、制度融資など、複数の選択肢があります。自己資金がない分、事業計画書の完成度と説得力が審査の成否を分けることになります。

また、自己資金を調達する方法も多数存在します。不動産などの現物資産、みなし自己資金、親族からの贈与、資産売却など、さまざまな選択肢を検討してみてください。

とくに、不動産を所有している方であれば、不動産担保ローンは有効な資金調達手段となります。

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本記事は正確な情報を掲載するよう努めておりますが、
情報が古くなったりすることもあり、必ずしもその内容の正確性を保証するものではございません。
当該情報に基づいて被った損害については責任を負いかねます。

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事業資金が急ぎで欲しい!調達方法や注意点などを解説

お役立ち情報 2025/09/16

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売上の減少や売掛金の入金遅れなどで、資金繰りが急に苦しくなることもあるでしょう。そんなときに頼れる資金調達方法として、ファクタリング、手形割引、ビジネスローン、不動産担保ローンなどがあります。

ただし、自社にはどれが向いているか判断に迷う方も多く、急いで動くとリスクや注意点を見落としてしまいかねません。

この記事では、スピード感・金利・借入可能額といった視点から、急ぎの資金調達に向いている方法を紹介しています。調達時の注意点や融資可能額の計算方法も解説しているため、ぜひ一読ください。

事業資金を急ぎで調達する方法:資産売却編

急に資金が必要になったとき、これから入ってくる予定のお金を前倒しで現金化する方法があります。ここでは、即日〜数日で資金を得られる可能性が高い方法を紹介します。

ファクタリング(2社間)

ファクタリングとは、売掛金(取引先に対して請求できる未回収のお金)をファクタリング会社に買い取ってもらい、早めに現金化する方法です。借入とは違い、債権(相手にお金を請求できる権利)の売却という扱いになるため、信用情報に影響を与えない点がメリットです。

2社間ファクタリングは、自社とファクタリング会社の間だけで契約を行う方法です。取引先には知られずに資金を調達できるため、関係性を気にせず利用しやすいのが特徴です。申し込みから入金までのスピードも速く、最短即日で資金を受け取れる可能性があります。

ただし、ファクタリング会社は取引先に確認ができない分、リスクを取ることになるため、売掛先の信用力が重視されます。手数料も8〜18%とやや高めに設定されています。担保や保証人は不要ですが、コストとのバランスをよく見極めて利用することが大切です。

ファクタリング(3社間)

3社間ファクタリングは、自社・ファクタリング会社・売掛先の3者間で契約を結ぶ方法です。取引先に「売掛金はファクタリング会社に支払ってください」と通知し、ファクタリング会社が直接お金を回収する仕組みです。

未回収リスクが少ない分、手数料は2〜9%と比較的低めとなっています。コストを抑えて資金調達ができるのがメリットです。

ただし、売掛先の同意が必要なため、2社間ファクタリングと比較すると時間がかかる傾向にあり、即日入金が難しいケースもあります。信頼できる取引先がいる場合には、有効な資金調達手段として活用できるでしょう。

手形割引

手形割引とは、取引先から受け取った約束手形を、支払期日よりも前に銀行などに持ち込んで現金化する方法です。手形の支払いは通常2〜4か月先になることが多く、その間に資金が必要になった場合に活用できます。

銀行などの金融機関は、手形の信用度を確認したうえで、所定の手数料(おおよそ2〜15%)を差し引いた金額を即日または数日以内に支払ってくれます。支払期日になると、銀行が取引先から手形の金額を回収する仕組みです。

ただし、万が一振出人が支払い不能となってしまった場合、割引依頼人がその手形を買い戻す請求がなされる点には注意が必要です。利用前には、取引先の信用状態をよく確認しておきましょう。

また、紙の手形は2026年度末までの利用廃止に向けた取り組みがあり、将来的に資金調達方法として使えなくなる可能性があります。中小企業にとって、手形は資金繰りの負担になることが多いため、今後はよりスピーディーで安全な電子記録債権などの仕組みが広がっていくことが予想されます。

事業資金を急ぎで調達する方法:融資編

融資は返済義務があるものの、短期間でまとまった資金を確保できるのがメリットです。ここでは、急ぎの資金調達に向いている5つの融資方法、ビジネスローン、売掛債権担保融資(ABL)、信用保証付き融資、不動産担保ローン、プロパー融資を紹介します。

ビジネスローン

ビジネスローンは、個人事業主や中小企業向けに提供されている無担保の融資です。銀行やノンバンクなどで取り扱っています。

ビジネスローンは、事業目的での利用が条件で、仕入れや設備投資、運転資金など、幅広い用途に対応できます。ただし、生活費など私的な目的には使えません。

主な条件は以下のとおりです。

  • 融資額:50~1,000万円程度(事業規模や信用状況により1,000万円以上の上限)
  • 返済期間:1~10年ほど
  • 金利:年2.5~18%前後
  • 担保・保証人:原則不要

銀行系のビジネスローンは金利が低めですが、審査が厳しく融資までにやや時間がかかる傾向があります。一方、ノンバンク系はスピード重視で、早ければ申し込みから2日ほどで資金を受け取れる場合もあります。

急ぎで資金が必要な方にはとくに向いていますが、金利が高くなることもあるため、無理のない返済計画を立ててから申し込むことが大切です。

売掛債権担保融資(ABL)

売掛債権担保融資(ABL)は、自社が保有する売掛金を担保にして、金融機関から融資を受ける方法です。将来入る予定のお金を、先に資金として活用できる点が特徴で、ファクタリングと似た使い方ができます。

金融機関に売掛金の内容を提示し、取引先から確実に入金される見込みがあると判断されれば、売掛金の50〜80%程度まで融資が可能になります。ただし、金融機関や契約内容によって変動します。

  • 金利の目安:年2~10%程度
  • 返済方法:売掛金の入金時に返済

消費者向けの売掛金や、契約上「譲渡不可」となっている債権は対象外となります。また、契約手続きや報告資料の提出などの事務作業がやや多く、融資が実行されるまでに数日〜数週間と期間に幅がある点にも注意が必要です。

信用保証付き融資

信用保証付き融資とは、融資を受ける際に信用保証協会が保証人になってくれる制度です。「担保も保証人もいないけれど、事業資金を借りたい」という方にとって、頼もしい選択肢のひとつです。

具体的には、まず銀行や信用金庫などの金融機関に融資を申し込みます。その後、金融機関と信用保証協会がそれぞれ審査を行い、通過すれば融資が実行されます。

万が一、返済が難しくなった場合も、金融機関の請求により、協会は金融機関に対して代位弁済が行われるため、金融機関としてもリスクを抑えられ、借りる側にとっては融資を受けやすくなるメリットがあります。

ただし、信用保証を受けるには保証料の支払いが必要です。審査も2段階で行われるため、融資が実行されるまでに1〜2か月ほど時間がかかることもあります。

不動産担保ローン

不動産担保ローンは、不動産を担保にして資金を借りる方法です。担保を差し入れることで、無担保ローンに比べて高額の借入が可能な点や金利が低めに設定されている点が特徴です。

借入可能金額は、担保とする不動産の評価額によって決まり、一般的には評価額の60〜80%が目安になります。たとえば、不動産の評価が3,000万円であれば、1,800〜2,400万円程度まで借りられる可能性があります。

融資額は申込者の事業収入や返済能力などによって変動します。金利の目安は年2.5〜15%程度、返済期間は最大35年と長期で設定できるため、月々の負担を抑えたい方にも向いている方法です。

注意点としては、返済ができなくなった場合、担保にした不動産が差し押さえられ、売却される可能性があるということです。また、登記費用や手数料といった初期費用がかかり、融資が実行されるまでに数日〜数週間ほどかかることも想定しておきましょう。

こちらの記事では、土地担保で受けられる融資について解説しています。
メリット・デメリットも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

プロパー融資

プロパー融資とは、信用保証協会の保証をつけずに、銀行などの金融機関が自らの判断と責任で融資を行う方法です。この融資を受けられるということは、銀行からの信用がある証ともいえ、保証料がかからない分、コストを抑えて資金を調達できるのが魅力です。

金利の目安は年1〜3%ほどで、融資条件も銀行と直接相談しながら進められるため、柔軟な対応が期待できます。

ただし、審査は比較的厳しいです。たとえば、開業したばかりの方や、赤字決算が続いている場合は、融資を受けるのが難しい可能性があります。

また、担保や連帯保証人を求められるケースが多く、融資までにかかる時間も2週間〜1か月ほどと、やや余裕を持った対応が必要です。プロパー融資は、ある程度の売上実績があり、普段から銀行と良好な関係を築いている事業者におすすめの方法です。

事業資金を急ぎで調達する方法:そのほか

資金繰りが厳しくなったとき、銀行からの融資以外にも、身近な方法で資金を用意することは可能です。ここでは、比較的スピーディーに現金化できる3つの手段を紹介します。

家族や知人からの借入

家族や友人からお金を借りるのは、もっとも身近で手軽な方法のひとつです。審査もなく、過去の信用情報に関係なく貸してもらえる可能性があり、場合によっては当日中に資金を手にできます。利息がかからない可能性がある点や、返済スケジュールを柔軟に相談できる点もメリットです。

ただし、お金の貸し借りは人間関係に影響します。後々のトラブルを避けるためにも、借用書を交わし、金額や返済方法などを明確にしておくことが大切です。

また、貸し借りに関する取り決めを正式に記録するために、借用契約書を作成することも重要です。契約書には返済期限や利息の有無、万が一返済が遅れた場合の対応なども盛り込んでおくことで、双方の安心感を高め、将来的な誤解や争いを防げます。

資金繰り改善サービス

売上はあるのに、入金までのタイムラグで手元資金が不足しているときに便利なのが、資金繰り改善サービスです。

たとえば、売掛金を早めに現金化する仕組みや、仕入れの支払いを少し延ばせるサービスなどがあり、一時的なキャッシュ不足をカバーできます。上手に使えば、急場をしのぎつつ事業の流れを止めずにすみます。

定期預金・保険の解約

手元にすぐ現金が必要な場合、定期預金の中途解約や保険の解約という選択肢もあります。融資のような審査が不要で、手続きがスムーズに進めば数日で現金化できることから、スピード重視の資金調達に向いています。

ただし、定期預金は解約すると利息が減ることがあり、保険を解約すると将来の保障がなくなってしまう可能性があります。とくに、医療保険や生命保険は、解約後の再加入が難しいケースも多いため、あくまでも最終手段として慎重に判断しましょう。

いくら融資を受けられるかについて確かめる方法

事業資金を補いたいとき、自社がいくらまで借りられるのかは気になるところです。ここでは、融資可能額の目安を知るための方法を紹介します。

金融機関に聞いてみる

もっとも確実なのは、銀行や信用金庫などの金融機関に直接相談することです。事業の内容や売上、経費、現在の借入状況、自己資金の有無など、いろいろな情報をもとにどのくらいまでなら貸せるかを判断してくれます。

ただし、すべての金融機関がすぐに具体的な金額を教えてくれるとは限りません。なかには、すでに取引があるお客さまにしか詳しい話をしないところもあります。

自分で計算する

銀行が教えてくれない場合は、自分で事業の収支や借入状況を整理し、おおよその融資可能額を試算してみるのもひとつの方法です。あくまで参考程度ですが、無理のない資金計画を立てるための手がかりになります。

償還年数を基準にした計算

償還年数とは、今の事業の利益で借入金を何年かけて返済できるかを示す数字です。金融機関では、10年以内に返済できる範囲かを目安にすることが多いです。

以下の計算式で、おおよその融資可能額を出せます。

(税引後利益 + 減価償却費) × 10年 = 融資可能額の上限目安

より現実的に試算したい場合は、返済期間を5年や7年に設定して計算してみるとよいでしょう。

(税引後利益 + 減価償却費) × 5年 = 5年返済の場合の目安額

ただし、上記で出した金額はあくまでも目安です。実際の審査では、信用情報や自己資金の状況、既存の借入額、事業の安定性など、さまざまな要素が考慮されます。

経常利益を基準にした計算

経常利益とは、日々の事業活動によって安定して生み出されているかを示す数値です。たとえば、不動産の売却など一時的な収入は含まず、通常の営業から得られたもうけだけを指します。

経常利益をもとに、借入の目安額を出すときは、次のような計算が使われます。

過去3年間の平均経常利益 × 50% × 7年

この式は「毎年のもうけの半分を返済にあてたら、7年でどのくらい返せるか」という考え方です。

たとえば、3年間の平均経常利益が700万円だった場合は

700万円 × 0.5 × 7年 = 2,450万円

つまり、おおよそ2,450万円が、無理なく返済できる上限の目安となります。

金融機関が慎重に審査するときに使われる考え方なため、やや保守的な試算にはなりますが、現実的な返済可能額を知るには有効な手段です。

借入依存度を基準にした計算

借入依存度とは、事業全体の資金のうち、どれくらいの割合が借金によってまかなわれているかを示す指標です。割合が高いほど、返済リスクがあると判断され、新たな融資の審査が厳しくなる可能性があります。

一般的な目安は以下のとおりです。

  • 50~60%:健全
  • 60%以上:やや注意が必要
  • 70%以上:慎重な審査対象

自身の借入依存度は、次の式で計算できます。

借入依存度(%)= 借入金 ÷ 総資産 × 100

たとえば、借入金が1,500万円、総資産が3,000万円の場合

1,500万円 ÷ 3,000万円 × 100 = 50%

上記のように数値化してみると、自分の事業がどれくらいの借入負担を抱えているのかが見えてきます。また、追加の融資をざっくり知りたい場合には、次の計算式が参考になります。

総資本 × 50% = 借入の上限目安

たとえば、総資本が4,000万円の場合

4,000万円 × 50% = 2,000万円

このように、おおよそ2,000万円までであれば、金融機関からも無理のない借入と判断されやすくなります。借りすぎを防ぐためにも、事前にこうした指標をチェックしておくことが大切です。

理想の融資を受けるためのポイント

融資は、いつでも希望通りの金額が借りられるとは限りません。金融機関の審査によっては、希望額より少ない金額しか借りられないケースや融資そのものが通らない可能性もあります。

しかし、あらかじめポイントを押さえて準備しておけば、より良い条件で融資を受けられる可能性が高まります。

ある程度自己資金を用意しておく

理想的な融資を受けるには、自己資金をある程度用意しておくことが重要です。まったく自己資金がない状態では「この人は返済できるのだろうか?」と金融機関に不安を与えてしまい、希望額に届かないことがあります。

目安としては、必要資金の1〜3割程度を自分で用意しておくと安心です。5割以上の自己資金があれば、さらに審査で有利に働くでしょう。

金融機関は、自己資金の金額を見ることで「この人は計画的に準備を進めてきた」「お金の管理がしっかりしている」と判断します。日々の積み立てやコツコツと準備してきた姿勢が、信用につながります。

入念に事業計画書を作る

融資を申し込む際に気になるのはいくら借りられるかですが、金融機関がもっとも重視するのは本当に返せるかどうかです。判断材料となるのが、事業計画書です。

事業計画書は、どのような事業を行っていて、どう利益を生み出していくのかを分かりやすく伝える資料です。金融機関は事業計画書を通して、事業への熱意や経験、今後の見通しを確認します。

信頼感を持ってもらうためには、単なる理想や希望だけでなく、過去の実績や具体的な根拠にもとづいた、現実的で説得力のある計画を示すことが大切です。また、返済についても余裕を持たせたスケジュールを提示することで、より安心してもらえるでしょう。

残債をできるだけ減らしたうえで申し込む

新たに融資を申し込む際は、すでにある借入状況が審査に大きく影響します。そのため、可能な範囲で残っている借金を減らしておくことが大切です。

金融機関は今の借入状況で、さらに貸しても大丈夫かを慎重に見極めるためです。現状の借入額が多すぎると、返済できるのか不安があると判断され、希望額より少ない融資になる、または金利が高くなる可能性もあります。

とくに、個人事業主の場合は、事業用の借入だけでなく、個人のローンやクレジットカードの利用状況、さらには税金・保険料の支払い状況までチェックされるため注意が必要です。

あらかじめ借入残高を整理しておくことで、お金の管理ができていると金融機関からも信頼されやすくなります。もし余裕があれば、一部を繰り上げ返済する、借入先をまとめるといった工夫も検討してみましょう。

事業が好調なときに申し込む

資金が足りなくなってから急いで融資を申し込むよりも、事業が順調に進んでいるタイミングで申し込んだほうが、よりよい条件で借りられる可能性が高くなります。資金に余裕があれば、金融機関も安心して検討しやすいためです。黒字決算や安定したキャッシュフロー、継続的な取引があるとプラスの評価につながります。

たとえ一時的に業績が落ちていても、最近の売上や受注の回復傾向を数字で示せれば、返済の見込みがあると判断され、審査が通りやすくなるケースもあります。将来のために備えておくという段階で融資枠を確保しておけば、いざというときに慌てず、落ち着いて対応できます。

即日で事業資金を調達する際の注意点

急な仕入れや支払いには、即日資金調達が便利ですが、手数料の高さや悪質業者に引っかかる可能性があるなどのリスクもあります。ここでは、即日で事業資金を調達する際に注意すべきポイントを解説します。

悪徳業者かどうかを見極める必要がある

「審査なし」「誰でもOK」「低金利」など、魅力的な言葉で誘ってくる業者にはとくに注意が必要です。なかには、融資保証金詐欺や見せかけだけのファクタリングで実質的に違法な貸し付けを行うケースもあります。

貸金業者は、貸金業法に基づいて、財務局長または都道府県知事の登録を受ける義務があり、登録番号を公式サイトなどで公開しています。

たとえば、不動産担保ローンを提供するワコーファイナンスのサイトでは、愛知県と静岡県の登録番号をホームページ内に記載しています。慌てて契約を決める前に、業者が正規登録されているか必ず確認しましょう。

見極め方1:金融庁の情報を参考にする

金融庁が提供している「登録貸金業者情報検索サービス」では、業者の名前や所在地などを入力することで、正式に登録されているかどうかを調べられます。表示されない場合は、登録されていない可能性が高く、契約は避けたほうがよいでしょう。

出典:金融庁ウェブサイト「登録貸金業者情報検索サービス」

https://www.fsa.go.jp/ordinary/kensaku/

見極め方2:日本貸金業協会の情報を参考にする

日本貸金業協会の「ヤミ金・悪質業者被害の実例検索」では、これまでに報告された被害事例を確認できます。

業者名や電話番号を入力して調べられ、自分が関わろうとしている業者に過去のトラブルがないかをチェックできます。事前に確認しておくと安心です。

出典:日本貸金業協会ウェブサイト「ヤミ金(悪質業者)の実例検索」

https://www.j-fsa.or.jp/personal/bad_contractor/search/

即日で調達できるとは限らない

「即日融資可能」とうたわれていても、実際には書類の不備や審査の進行状況によって時間がかかることも多く、必ずしも当日中に資金を受け取れるとは限りません。

たとえば、本人確認書類の提出が遅れる、または追加の収支説明を求められるといったことがある場合、手続きが長引いて即日融資は難しくなります。

とくに、銀行の融資は即日対応が基本的に不可能であり、即日対応が可能なのは主にノンバンク系や一部のビジネスローン業者に限られます。時間的な余裕がないときこそ、こうした点を理解したうえで、早めに準備を進めておくことが大切です。

金利や手数料が高い傾向にある

即日で資金を調達できるビジネスローンやノンバンク系の融資は、スピード感を重視できますが、金利や手数料が高く設定されていることが多いため、コスト面には注意が必要です。たとえば、金利は年2〜18%と幅があり、融資額の2%前後の事務手数料がかかるケースもあります。

たとえば、100万円を借りた場合でも、手数料で2万円が差し引かれ、手元に届くのは98万円です。さらに年利12%であれば、1年間で約12万円の利息が発生するため、実質的な負担は思った以上に大きくなります。

短期間の利用であれば資金繰りの助けになりますが、長く使い続けると返済負担が重くなり、かえって資金繰りが悪化するリスクもあります。利用前に無理のない返済計画を立てておくことが大切です。

土日や夜間は即日対応が難しい可能性がある

即日融資が可能なサービスでも、申し込む時間帯や曜日によっては、当日中に資金を受け取れないケースがあります。多くのビジネスローンでは、即日融資を希望する場合、午前中までの申し込みが条件となっており、午後の申し込みは翌営業日以降の対応になることが一般的です。

また、ウェブ上で手続きが完結するタイプの融資であっても、土日祝日や年末年始などは、審査や振り込み対応を行っていない業者も少なくありません。急ぎで資金が必要なときこそ、事前に営業時間や対応日をよく確認しておくことが重要です。

調達できる金額は低めである

即日で資金を調達できる方法はスピード重視の反面、調達できる金額が比較的少なめなことが一般的です。

たとえばビジネスローンでは、上限が300万円前後に設定されているケースが多く、1,000万円を超えるような大型の融資はあまり見られません。ただし、一部のビジネスローンでは1,000万円を超える限度額設定もあります。

また、ファクタリングや手形割引の場合も、売掛金や手形の金額から手数料が引かれるため、実際に手元に入る金額はさらに少なくなります。ある程度まとまった資金が必要なときは、ほかの資金調達方法もあわせて検討するのがおすすめです。

借入の場合は信用情報に影響を与える場合がある

借入は、信用情報に影響することがあるため注意が必要です。短期間に複数の融資を申し込むと、資金繰りが厳しいのではないかと判断され、次回以降の審査で不利になることがあります。

さらに、返済が滞ると異動情報(いわゆるブラックリスト)として登録され、5〜7年ほど新たな借入が難しくなる可能性があります。信用を守るためにも、無理のない金額と返済計画のもとで、慎重に利用することが大切です。

慌てずに資金を調達するためのコツ

資金が足りないことに気づいたとき、慌てて高金利の融資に頼る、または信頼できない業者を利用してしまうケースは少なくありません。

こうした事態を避けるためには、日ごろからお金の流れや在庫を把握しておくことが大切です。ここでは、急な出費があっても落ち着いて対応できるようにするための6つのポイントを紹介します。

資金繰りが悪化する前に資金調達を進める

資金調達は、必要に迫られてからではなく、余裕があるうちに始めるのが理想です。金融機関も、経営が安定している時期に相談を受けたほうが前向きに検討しやすく、好条件での融資につながる可能性が高くなります。

たとえば、黒字決算で資金にも余裕があるときに、あらかじめ運転資金の融資枠を確保しておけば、急な支出が発生しても慌てず対応できます。

ワコーファイナンスでは、資金使途自由の不動産担保ローンをご検討中の方に向けて
お試し診断を承っております。

キャッシュフローを管理する

安定した経営のためには、日々のお金の動きを把握することが欠かせません。売上があっても、手元に現金がなければ支払いができず、取引先との信頼を損なうおそれもあります。

そこで、重要なのがキャッシュフローの管理です。キャッシュフローとは、いつどれくらいのお金が入り、いつどれくらい出ていくのかを示すものです。

会計ソフトなどを使って資金繰り表を作成すれば、毎月の入出金が一目で分かるようになります。今月の資金が少し足りないかもという兆しに早めに気づけるため、落ち着いて対応できるようになります。

投資はキャッシュフロー内で行う

お店の改装や新しい設備の導入など、将来の成長を見据えた投資はとても大切です。ただし、売上が伸びるはずという見込みだけで大きな出費をすると、予想が外れたときに資金が足りなくなるリスクがあります。

投資を検討する際は、今のキャッシュフローのなかで無理なく対応できるかを確認しましょう。今ある現金以上の投資をしてしまうと、借入に頼ることになり、返済の負担から資金繰りが苦しくなる可能性も出てきます。

理想は、日々の営業活動で得られる利益の範囲内で投資を行うことです。無理なく、安心して経営を続けられるようになります。

不要な在庫を処分する

商品や資材などの在庫は資産の一部といえますが、売れていない間は現金にならず、いわば眠っているお金のようなものです。保管スペースをとるうえに、倉庫代などのコストもかかり、資金繰りを圧迫してしまうでしょう。

売れ残っている在庫は、値下げやセット販売などを活用して、できるだけ早めに現金化することをおすすめします。

在庫の回転率(どれくらいのスピードで売れているか)を定期的にチェックし、仕入れすぎを防ぐことも重要です。在庫がすっきり整理されると、お金の流れもスムーズになり、経営にゆとりが生まれます。

経費を削減する

資金繰りを安定させるには、売上を伸ばすだけでなく、毎月の支出を見直すことも大切です。たとえば、使っていないサブスクリプションサービスをひとつ解約するだけでも、年間で1万円以上の節約になる場合があります。

しかし、経費はやみくもに削ればよいというものではありません。お客さまの満足や売上につながる部分にはお金をかけつつ、無駄な出費を見つけて削減することがポイントです。日々の経費に少し意識を向けるだけで、着実に資金の余裕を生み出せます。

仕入先や販売先と交渉する

日々の資金繰りを少しでも安定させるには、お金の入りと出のタイミングを見直すことがポイントです。たとえば、仕入れ代金はすぐに支払っているのに、売上の入金が翌月末といった状態では、一時的に資金が足りなくなることも少なくありません。

仕入先に支払い期限の延長を相談してみる、または販売先に入金を早めてもらえるようお願いしてみましょう。もちろん、無理に要求するのではなく、相手との関係性を大切にしながら丁寧に話し合いを進めることが大切です。お互いに協力し合える関係が築ければ、自社に合った資金の流れをつくりやすくなります。

まとめ

急な支払いが必要になったとき活用できる資金調達方法には、主に資産売却系と融資系があります。資産売却系のファクタリングや手形割引は、売掛金や手形をすぐに現金化できるという利点があり、数日以内に資金を得られるケースもあります。

ただし、手数料が高めに設定されていることが多く、調達できる金額も手元にある資産の範囲に限られるといったデメリットもあります。

一方で、融資は返済の義務はあるものの、比較的まとまった資金を短期間で確保できるのが強みです。たとえば、ビジネスローンやノンバンク系融資では、即日融資が可能なケースもありますが、金利や手数料が高めで、借入額も300万円程度までと制限があるのが一般的です。

より大きな資金を必要とする場合には、不動産担保ローンという選択肢があります。担保を提供することで、低めの金利で高額融資が受けやすくなる点がメリットです。

愛知県や静岡県で融資をお考えの方は、ワコーファイナンスの不動産担保ローンをご検討ください。地域密着型の丁寧な対応と、スピード審査により、最短2日で融資が可能です。お試し診断も承っておりますので、お気軽にご活用ください。

 

本記事は正確な情報を掲載するよう努めておりますが、
情報が古くなったりすることもあり、必ずしもその内容の正確性を保証するものではございません。
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ファクタリングの乗り換えは問題なし!メリット・デメリットや注意点も解説

お役立ち情報 2025/08/28

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「手数料が高い」「入金までに時間がかかる」と感じながら、今のファクタリング会社を使い続けている方もいるのではないでしょうか。

実は、ファクタリングの乗り換えは原則として可能です。手数料の削減や、より高額な債権の買取に対応してくれる会社もあり、条件を見直すだけで経営が軽くなるケースも少なくありません。
この記事では、ファクタリング乗り換えの可否やメリット・デメリット、具体的な手順、注意点をわかりやすく解説します。

ファクタリング利用中の他社乗り換えは原則OK

ファクタリング契約は「債権譲渡」にもとづく契約であり、民法上も債権の譲渡は自由にできます。ただし、いくつかのケースでは乗り換えが認められないケースもあるため、事前の確認が必要です。

それぞれのケースを詳しく見ていきましょう。

乗り換えOKのケース

他社への乗り換えは、すでに売却していない別の売掛金がある場合に可能です。ファクタリングは売掛金ごとに契約を結ぶ仕組みです。

そのため、まだ売却していない売掛金を他社に提示すれば、重複や違法行為にはなりません。つまり「新たな売掛金があるかどうか」が、乗り換えの可否を判断する基準になります。

乗り換えNGのケース

すでに売却済みの債権を他社に再度持ち込む行為は「二重譲渡」となり違法です。このような場合は、乗り換えできません。

また、請求書を発行していないような、契約上まだ売掛債権として確定していない「将来債権」は、対応しないファクタリング会社が多く、実質的に乗り換えできないケースもあります。

他社の条件が魅力的に見えても、売却可能な債権がなければ契約できません。事前に売掛金の状態や契約内容をしっかり確認しましょう。

ほかの方法からファクタリングへの乗り換えは場合による

ファクタリングへの乗り換えが可能かどうかは、現在利用している資金調達手段によって対応が異なります。とくに、借入型の手段を利用している場合は事前に確認すべき点も多く、慎重な判断が必要です。

ビジネスローンからファクタリングへの乗り換えはOK

ビジネスローンを利用していても、ファクタリングへの乗り換えは基本的に可能です。乗り換えを検討する際は、借入時期や残高など現在の借入状況にも配慮したうえで申し込むのが望ましいでしょう。

銀行融資からファクタリングへの乗り換えは要確認

銀行融資を受けている場合は、契約内容にほかの資金調達を制限する条項がないか必ず確認しましょう。

なぜなら、銀行によっては契約でファクタリングを含む別の資金調達を禁止しているケースがあるためです。また、すでに売掛金を担保にして融資を受けていると、ファクタリングに利用できません。

ファクタリング会社乗り換えの流れ

ファクタリング会社の乗り換えは、基本的に初回利用時と同じ手順で進みます。とくに特別な手続きは必要なく、以下のような流れでスムーズに進められます。

1.乗り換え先のファクタリング会社を選ぶ
2.メールや電話で相談し、申し込む
3.必要書類を提出して審査を受ける
4.契約締結後、資金が入金される

乗り換えは比較的簡単な手続きで進められることが多いですが、事前に必要書類や契約内容を確認することが重要です。

なお、すでに売却した売掛債権を重複して使わない限り、複数のファクタリング会社を同時に利用することも可能です。まずは気軽に相談し、自社にとって最適な乗り換えの可能性を探ってみましょう。

ファクタリング会社乗り換えのメリット

ここでは、ファクタリング会社の乗り換えによる3つのメリットを紹介します。

手数料や諸経費を抑えられる

手数料の安いファクタリング会社へ乗り換えることで、資金調達にかかるコストを大幅に削減できる可能性があります。

たとえば、現在8%の手数料がかかっている場合でも、乗り換え先によっては4%に抑えられるケースも少なくありません。一見わずかな差に見えても、500万円の売掛債権を資金化する際には20万円のコスト差になります。

このようなコスト削減は、資金繰りの改善にも直結します。条件のよい会社への乗り換えは、有効な選択肢といえるでしょう。

資金調達のスピードを早められる

ファクタリング会社によって、資金調達までにかかる時間を短縮できる可能性があります。審査後すぐに資金化できる点はファクタリングの魅力ですが、実際の対応スピードは会社ごとに異なります。

事業の運転資金をすぐにでも確保したい場面では、1日の違いが経営を左右するケースもあります。より迅速な対応が期待できる会社への乗り換えは、スピードを重視したい方にとって有効な選択肢です。

買取限度額を増額できる

現在利用中のファクタリング会社では対応できない高額な債権も、乗り換えによって買取可能になるケースがあります。

たとえば、一部のファクタリング会社は事業規模やリスク管理の観点から、買取額に上限を設けている場合があります。実績豊富な大手ファクタリング会社であれば、1件あたり数千万円規模の債権に対応しているケースもあり、複数の売掛先の債権を一括で買い取ってもらえる可能性もあります。

ファクタリング会社乗り換えのデメリット

ここでは、ファクタリング会社を乗り換える際に考慮すべき主なデメリットを3つ紹介します。

一から信頼関係を築き直さなければならない

ファクタリング会社を変更すると、それまでの取引履歴や信頼関係は引き継がれません。とくに2者間ファクタリングでは、売掛先だけでなく、利用者自身の信用も重視されます。新たな会社との取引では、書類の正確な提出や丁寧な連絡対応が求められます。

書類を作り直さなければならない

これまで利用していた会社であれば、過去の取引履歴や提出済みの資料があるため、追加の手続きは最小限で済みます。しかし、新しい会社では初めての審査となるため、決算書や請求書などすべてを用意し直さなければなりません。

審査に時間がかかりやすい

新しいファクタリング会社では、取引実績がない状態から審査をするため、手続きに時間がかかる場合があります。

とくに、早急な資金調達が必要な状況では、審査の遅れが資金繰りに悪影響を及ぼすリスクもあります。そのため、事前に審査スピードを確認し、スケジュールに余裕を持って相談しましょう。

こちらの記事では、不動産担保で受ける融資について解説しています。メリット・デメリットも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

ファクタリング会社乗り換えの検討をおすすめするケース

ここでは「乗り換えた方がいいのか迷っている」という方に向けて、乗り換えを検討すべき代表的なケースを紹介します。

手数料や諸経費が高い

ファクタリングの手数料は会社ごとに差があり、数%の違いでも手元に残る金額が大きく変わります。現在の手数料が高いと感じる場合は、より条件のよい会社へ乗り換えると、資金調達のコストを抑えられる可能性があります。

買取可能金額が低い

ファクタリング会社には、対応可能な買取額に上限があります。小規模なファクタリング会社では、買取可能額が数百万円にとどまるケースも珍しくありません。一方で、大手であれば、1億円以上の債権にも対応可能な場合があります。

必要な資金を確保できない状態が続くと、資金繰りの悪化や事業機会の損失につながるおそれがあります。そのため、買取上限の高い会社への乗り換えは、有効な対策といえるでしょう。

入金が遅い

ファクタリングの大きなメリットは、迅速に現金化できる点です。しかし、入金までの日数はファクタリング会社によって異なります。

資金化までのスピードに不満があるなら、スピード重視の会社へ乗り換えると改善が期待できます。

担当者の対応が悪い

スムーズな資金調達には、担当者との信頼関係が欠かせません。対応が遅い、相談に真摯に応じない、連絡が途絶えやすいといった場合は、業務に支障が出るだけでなく、精神的な不安も増します。

実績豊富な会社であれば資金調達だけでなく、今後のキャッシュフローについても相談に応じてくれるため、安心して取引を進められます。

債権譲渡登記が必須

債権譲渡登記とは、売掛金などの債権を第三者に譲渡する際、その情報を公的に記録する手続きです。登記を行うことで、債権の譲渡が法的に有効となり、第三者に対してその権利が明確に主張できます。

一部のファクタリング会社では、債権譲渡登記を義務付けており、この場合は追加で数万円から十数万円の費用が発生します。また、登記によってファクタリングの利用が売掛先に知られるリスクもあります。

取引先への影響やコスト負担を避けたい場合は、登記不要で契約できる会社へ乗り換えを検討するとよいでしょう。

乗り換え先の比較検討で見るべきポイント

ファクタリング会社を乗り換える際は、以下のポイントを押さえて比較しましょう。

・サービス内容
・手数料
・諸経費
・売却できる債権の種類
・債権買取額の上限と下限
・現金化までの日数
・ファクタリング会社の実績 など

事業規模や資金調達の目的に応じて、最適なファクタリング会社は異なります。たとえば、急ぎで資金が必要な場合は、審査のスピードや少額取引への対応可否を重視しましょう。

一方、大口の債権取引や継続利用を視野に入れるなら、買取上限額の高さや契約の柔軟性が選定のポイントになります。費用を抑えたいなら、基本手数料の安さに加えて、長期利用割引や早期入金割引の有無を確認するとよいでしょう。

複数の視点から総合的に比較することで、自社にとって最適な乗り換え先を見つけやすくなります。

ファクタリング会社乗り換えの注意点3つ

ここでは、トラブルを避けるために押さえておいてほしい3つのポイントを紹介します。

二重譲渡は厳禁

最も注意すべきなのが、同一の売掛債権を複数の会社に売却する「二重譲渡」です。同じ債権で見積もりを取るのは問題ありませんが、すでに売却済みの債権を再度使って資金調達を行うと、横領罪や詐欺罪に問われる可能性があります。

二重譲渡が発覚すると、社会的信用に大きな影響を及ぼし、事業に支障をきたす可能性があります。契約は必ず1社に限定しましょう。

複数社・複数回の乗り換えは審査で不利になる可能性

ファクタリング会社を乗り換える際は、毎回審査が必要です。複数の会社に同時申し込みをしたり、短期間に何度も乗り換えたりすると、信用力に疑問を持たれ、審査で不利になる場合があります。

信用を守るためにも、乗り換えは必要最小限にとどめ、計画的に進めることが大切です。

悪徳業者にも注意

乗り換え先のファクタリング会社が信頼できるかどうかは、資金繰りに直結する重要な要素です。なかには、法外な手数料の請求や違法に近い取引を持ちかけてくる悪質業者も存在します。

事前に公式サイトや口コミ、第三者の評価なども確認し、安心して取引できるファクタリング会社かどうかを慎重に見極めましょう。

ワコーファイナンスでは、ご融資の可否を確認できるお試し診断をご利用いただけます。

まとめ

ファクタリング会社の乗り換えは、資金繰りを改善するための有効な手段です。手数料や契約内容、対応の速さなどは会社によって異なるため、より条件のよい会社へ乗り換えることで、経営の負担を軽減できる可能性があります。

ただし、乗り換えを成功させるには、単にコストだけを見るのではなく、企業の信頼性や対応の丁寧さ、資金化までのスピードも含めた総合的な視点が必要です。

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本記事は正確な情報を掲載するよう努めておりますが、
情報が古くなったりすることもあり、必ずしもその内容の正確性を保証するものではございません。
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売掛金担保融資とは?仕組み・メリット・ファクタリングとの違いを解説

お役立ち情報 2025/08/20

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不動産を所有していない事業者でも、手元資産を活かせる資金調達の方法があります。売掛金担保融資(ABL)は、売掛金や在庫などの動産を担保にして資金を調達できる方法です。不動産がなくても、手元の資産を活用して金融機関から融資を受けられることから注目されています。

本記事では、売掛金担保融資の仕組みやメリット・デメリット、ファクタリングとの違いについて詳しく解説します。資金調達の選択肢を広げたい方は、ぜひ参考にしてください。

売掛金担保融資(売掛債権担保融資・ABL)とは?

売掛金担保融資(ABL)とは、「Asset Based Lending」の略称で、売掛金や在庫などの流動性の高い資産を担保にして融資を受ける資金調達方法です。

従来の融資では、不動産などの固定資産を担保とするケースが一般的でした。しかし、ABLでは動産を対象となるため、不動産を所有していない中小企業や個人事業主でも利用しやすいのが特長です。

返済が滞った場合には、担保として差し入れた売掛金や棚卸し資産から、金融機関が回収を図る仕組みが設けられています。

このようにABLは、売掛金や在庫、原材料などの資産を担保として活用できる実用的な制度です。金融機関との信頼関係を築きながら、資金繰りの不安を軽減したい事業者に適した手段といえます。

売掛金担保融資のメリット

ここでは、ほかの融資方法には見られない、売掛金担保融資ならではのメリットを3つ紹介します。

不動産を持っていなくても資金調達ができる

売掛金担保融資では、売掛金や在庫などの流動資産を担保に資金を調達できます。そのため、不動産を保有していない個人事業主や中小企業でも利用しやすく、売掛先の信用力が高ければ資産規模にかかわらず融資を受けられる可能性があります。

担保設定後も売掛金を利用できる

担保に設定した売掛金でも、売掛先からの入金は通常どおり受け取れます。あくまで担保設定のみのため、通常どおり債権の管理や回収が可能です。業務に支障をきたすことはありません。

内部管理体制を整備・強化する機会になる

売掛金担保融資では、売掛金の管理状況や入金履歴などが審査で重視されます。そのため、帳簿の整備や債権管理の精度を自然に高めることになり、結果として社内の財務管理体制を強化する機会になります。

売掛金担保融資のデメリット

売掛金担保融資には多くのメリットがありますが、以下のようなデメリットもあります。

資料の作成に手間がかかる

売掛金担保融資を利用するには、決算書や登記事項証明書、納税証明書に加え、売掛先との基本契約書、売掛金の一覧や契約書など、多くの書類が必要です。一般的な融資より準備する書類が多いため、一定の手間と時間を要します。

自社の信用情報や担保の価値次第では審査に通らない

売掛金担保融資では、とくに利用者側の信用力が重要視されます。そのため、売掛先の信用力が高くても、自社の信用情報が不十分だったり、担保に問題があったりする場合には、融資審査に通らない可能性もあります。

金融機関への定期的な報告義務がある

融資実行後は、担保とした売掛金の状況について3か月に1回以上、金融機関に報告しなければなりません。

しかし、こうしたやり取りは金融機関との信頼関係を深める機会にもなります。

売掛金担保融資とファクタリングの違い&使い分け

売掛金担保融資とファクタリングは似ているようで、仕組みや利用条件が大きく異なります。

仕組み

売掛金担保融資とファクタリングの違いは以下のとおりです。

項目 売掛金担保融資 ファクタリング
取引形態 売掛金を担保にして資金を借りる「融資」 売掛金を売却して現金化する「債権売却」
資金提供元 銀行やノンバンクなどの金融機関 ファクタリング会社
返済義務 あり(借入金として返済) なし(債権売却のため)
売掛金の所有権 金融機関に移るが占有は残る ファクタリング会社に移る
帳簿処理 売掛金は残る 売掛金は消える(債権譲渡)

このように、売掛金担保融資は「借りて返す」仕組みであり、ファクタリングは「売って終える」資金調達方法です。目的や状況に応じて使い分ける必要があります。

審査で重視される要素

売掛金担保融資では、自社の信用情報に加えて、売掛先の信用力も審査対象になります。一方、ファクタリングは売掛先の信用力が主に評価されるため、自社の財務状況に不安があっても利用しやすい傾向があります。

資金調達のスピード

売掛金担保融資は、資料準備や契約手続きに時間がかかるため、資金が手元に届くまで通常は数週間を要します。

一方、ファクタリングは審査が比較的簡単で、即日~数日で資金化できるケースが多くあります。

利息・手数料

売掛金担保融資では金利が発生しますが、一般的には低水準です。ファクタリングは手数料制で、売掛金額の数%~10%前後が差し引かれます。そのため、コスト面では売掛金担保融資の方が抑えられるケースがあります。

売掛先から入金がなかった場合の対応

売掛金担保融資では、売掛先からの入金がなくても返済義務は残ります。ファクタリングでは「ノンリコース契約」を選べば、売掛先が支払不能となった場合でも、利用者が返済責任を負わずに済む仕組みがあります。

売掛金担保融資で融資を受ける際の流れ

売掛金担保融資は、以下の手順で進めます。
1.融資元へ融資の相談・申込
金融機関に相談し、融資を申し込みます。過去に入金実績がある売掛先ならば、手続きがスムーズに進みやすくなります。
2.融資元へ売掛金や会社情報の提出
売掛金に関する情報や必要書類を提出します。信用力や売掛先の与信評価がポイントとなるため、書類は正確かつ網羅的に用意する必要があります。
3.融資元が審査と評価
金融機関は提出された書類をもとに、売掛金の回収見込みや企業の財務状況を審査します。売掛先の経営状態や支払いの実績も評価対象となります。
4.融資契約・担保設定
審査に通過した後は、融資契約を締結し、売掛金を担保として設定します。
5.融資の実行
契約と担保設定が完了すると、指定口座に融資金が振り込まれます。資金は主に運転資金や仕入れ資金として自由に活用できます。
6.定期報告
融資後は、担保に設定した売掛金の回収状況などを定期的に金融機関へ報告する必要があります。報告はおおむね3か月に1回の頻度で求められます。

なお、審査には通常数日〜1週間程度かかるため、事前に必要書類を整えておきましょう。

こちらの記事では、不動産担保で受け取る融資について解説しています。メリット・デメリットも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

受注債権担保融資

売掛金担保融資よりも早いタイミングで資金が必要な場合は、受注書等を元に電子記録債権を発生させ、それを担保とする受注債権担保融資の活用が有効です。

売掛金担保融資が「売上計上後」の債権を担保とするのに対し、「売上計上前」の受注情報をもとに資金を確保できます。

そのため、より早い段階で資金を調達でき、キャッシュフローの改善をスピーディーに進められるのが特長です。仕入れや人件費など、受注案件に必要な支出をまかなえるため、業務の停滞を防げます。資金繰りを早めたい企業や個人事業主にとって、頼りになる手段のひとつです。

ただし、受発注情報の電子債権記録サービスに対応している金融機関は、現状多くはありません。ABLに比べて申込先が非常に少ない点に注意が必要です。

ワコーファイナンスでは、融資が可能かお試し診断で確認いただけます。ぜひご利用ください。

まとめ

売掛金担保融資(ABL)は、不動産を持たない個人事業主や中小企業でも、売掛金や在庫といった手元資産を活用して資金調達ができる有効な手段です。とくに、不動産を所有していない事業者にとっては、資金調達の貴重な選択肢となります。

ただし、売掛先との契約内容や債権管理の状況によっては、必要書類の準備や審査に時間がかかることがあり、緊急性の高い資金需要には不向きな場合もあります。

そうした場面では、不動産を担保に最短2日で融資可能なワコーファイナンスの不動産担保ローンが選択のひとつになります。

ワコーファイナンスは地域密着型の金融会社で、事業資金・創業資金・つなぎ融資など幅広い用途に対応しています。資金調達でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

 

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自営業を廃業したらその後どうなる?手続きや生活の選択肢を解説

お役立ち情報 2025/08/05

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事業を終了する際には、廃業届の提出や税金の申告といった一連の手続きを行う必要があります。これらの手続きを怠ると、事業が継続していると見なされ、不要な税金が課される可能性があります。

正しい手順を踏むことで、余計な費用や手間をかけずに安心して廃業を進められます。

本記事では、自営業を廃業する際に必要な手続きや書類の種類、提出方法などを詳しく解説します。

自営業者が廃業する際の流れ

自営業を廃業する際には、まず廃業日を明確に設定します。次に、従業員や取引先などの関係者に早めに廃業の予定を伝えることが大切です。その後、税務署に廃業届を提出し、関連書類を整えて必要な手続きを進めます。

もし借入金などの債務がある場合は、速やかに返済を始めるようにしましょう。

最後に、廃業した年の所得に関する確定申告を忘れずに行いましょう。一つひとつの手続きを丁寧に進めることで、廃業後も落ち着いて新しい生活をスタートできます。

休業時の廃業届の提出は不要

業を完全に終了するのではなく、一時的に休業する場合には、廃業届を提出する必要はありません。

ただし、青色申告を続ける予定がある場合、休業中であっても確定申告は必要です。申告書には「休業中」と記載すれば、所得がゼロでも問題なく受理されます。

自営業の廃業時に提出する書類

ここでは、自営業を廃業する際に提出が求められる主な書類と、それぞれの提出先・期限・提出方法を紹介します。

1:個人事業の開業・廃業等届出書

個人事業の開業・廃業等届出書に関する基本情報は、下表のとおりです。

提出先 所轄税務署
提出期限 廃業後1か月以内
提出方法 ・持参
・郵送
・e-Tax(電子申告)

届出をしないままでいると、税務署は事業を「継続中」と判断し、確定申告の案内が引き続き送付される可能性があります。

出典:国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

2:青色申告の取りやめ届出書

青色申告をしていた場合は、下表の書類も必要です。

提出先 所轄税務署
提出期限 青色申告をやめる年の翌年3月15日まで
提出方法 ・持参
・郵送
・e-Tax

廃業にともなって制度を終了する際には、廃業届と一緒に必要な書類を提出する必要があります。

出典:国税庁「A1-10 所得税の青色申告の取りやめ手続」

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/23200008.htm

3:事業廃止届出書

事業廃止届出書に関する基本情報は、下表のとおりです。

提出先 所轄税務署
提出期限 廃業後1か月以内
提出方法 ・持参
・郵送
・e-Tax

提出期限は明確に定められていませんが、廃業届とあわせて、できるだけ早めに提出しましょう。

また、インボイス発行事業者の登録取消しは「適格請求書発行事業者の登録取消しを求める旨の届出書」の別途提出は必要ありません。

出典:国税庁「D1-14 事業廃止届出手続」

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1461_06.htm

4:所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書

所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書の基本情報を見ていきましょう。

提出先 所轄税務署
提出期限 第1期分および第2期分:その年の7月1日から7月15日まで
第2期分のみ:その年の11月1日から11月15日まで
提出方法 ・持参
・郵送
・e-Tax

予定納税している場合、廃業後に収入が見込めなくなるため、納税額の見直しを申請できます。

出典:国税庁「A1-3 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請手続」

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/02.htm

5:給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書

下表は、給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書に関する基本情報です。

提出先 所轄税務署
提出期限 廃業後1か月以内
提出方法 ・持参
・郵送
・e-Tax

従業員に給与を支払っている個人事業主は、事務所の廃止に伴い「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出が必要です。

出典:国税庁「A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_11.htm

6:個人事業税の事業廃止に関する届出書

個人事業税の事業廃止に関する届出書の基本情報は、下表のとおりです。

提出先 管轄の県税事務所
提出期限 都道府県によって異なる
提出方法 ・持参
・電子申請

廃業届の正式名称や様式、提出期限は地域によって異なります。たとえば、東京都では事業廃止日から10日以内の提出が求められる一方、愛知県では1か月以内となっています。

正確な詳細は、事業所所在地の都道府県税務担当窓口に確認しましょう。

出典:国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

7:健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届と被保険者資格喪失届

下表は、健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届と被保険者資格喪失届に関する基本情報です。

提出先 事務センターまたは管轄の年金事務所
提出期限 廃業後5日以内
提出方法 ・持参
・郵送
・電子申請

事業所の廃止等により社会保険の適用事業所に該当しなくなった場合は、事業所を管轄する事務センターまたは管轄の年金事務所に「健康保険・厚生年金保険 適用事業所全喪届」を提出します。

このときに「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届」もあわせて提出します。

出典:日本年金機構「1-6:適用事業所が廃止、休止等により適用事業所に該当しなくなったとき」

https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo/jigyosho/20120314-01.html

8:雇用保険適用事業所廃止届と雇用保険被保険者資格喪失届

雇用保険適用事業所廃止届と雇用保険被保険者資格喪失届における基本情報は、下表のとおりです。

提出先 管轄のハローワーク
提出期限 10日以内
提出方法 持参

雇用保険被保険者資格喪失届を提出していない場合、雇用保険適用事業所廃止届は受理されません。両方の届出は、あわせて提出する必要があります。

出典:ハローワーク「雇用保険適用事業所廃止届」

https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/assist/001000.do?screenId=001000&action=koyohotekiHaishiLink

出典:ハローワーク「雇用保険被保険者資格喪失届」

https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/assist/001000.do?screenId=001000&action=koyohohiSoshitsuLink

廃業にかかる費用

自営業の場合、法人のような登記手続きが不要なため、廃業にともなう行政手続き自体に費用はかかりません。とくに、自宅を仕事場としていた小規模な事業であれば、金銭的な負担はほとんど発生しないと考えられます。

一方で、事務所や店舗を借りていた場合や、大型の設備・資産を保有していた場合は、次のような費用が発生する可能性があります。

  • 不要となった在庫や備品の処分費用
  • 借用していた物件の原状回復工事費
  • 税理士をはじめとする専門家への相談料や手続き代行費用 など

事業の内容や保有資産の状況によって、廃業にともなうコストは大きく異なります。

廃業時に発生した費用は経費に計上できる

廃業後に支払った費用であっても、事業に関係するものであれば経費として扱えます。

たとえば、在庫の処分費や原状回復工事、専門家への報酬、事務所の光熱費などは「事業を廃止した場合の必要経費の特例」により、事業所得の経費として計上が認められます。

出典:国税庁「法第63条《事業を廃止した場合の必要経費の特例》関係」

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/13/01.htm

廃業後の確定申告も忘れずに

廃業した年の合計所得が基礎控除額を超える場合は、所得税の確定申告が必要です。申告を怠ると、延滞税や無申告加算税が発生するおそれがあります。

減価償却中の資産はどう扱う?

廃業年の減価償却費は、廃業日までの月数に応じて計算します。

資産を廃棄した場合は、除却損として損失処理が可能です。売却した場合は、未償却残高をもとに譲渡所得を算出します。保有したまま個人使用に切り替えるだけであれば、特別な申告処理は不要です。

廃業時に赤字でも確定申告をするメリット

確定申告の義務がなくても、申告することで以下のようなメリットがあります。

  • 所得税の還付を受けられる可能性

廃業前に所得税を納めていた場合、申告により還付される場合があります。

  • 非課税証明書を取得できる

確定申告を済ませておくと、市区町村から非課税証明書が発行されます。各種公的支援の申請や手続きの際に役立ちます。

  • 国民健康保険料の軽減措置を受けられる

申告内容に基づき所得が低いと認定されると、国民健康保険料の減額や免除を受けられる可能性があります。

自営業者は廃業後にどう生活する?

廃業後の生活設計として「再就職する」か「家族の扶養に入る」かを早めに決めましょう。どちらを選んでも、それぞれに必要な手続きがあるため、事前の準備が大切です。

再就職する

健康状態に問題がなく、働く意欲があれば、これまでの経験を活かして再就職を目指すことができます。安定した収入を得ることで、生活面だけでなく精神的な安心も得られます。

ただし、再就職をしても、廃業した年の確定申告は必要です。再就職先では年末調整が行われるため、確定申告との重複や漏れがないように注意しましょう。

また、就職先では健康保険や厚生年金に加入することになります。これらの手続きは会社側が行うため、人事・労務担当者の指示に従って手続きを進めましょう。

家族の扶養に入る

収入が一定の基準を下回る場合、家族の扶養に入る選択肢もあります。扶養に入るには、扶養者となる家族の勤務先で以下の条件を確認し、所定の手続きを済ませる必要があります。

  • 健康保険の扶養条件
  • 国民年金の第3号被保険者として認定されるか
  • 税務上の扶養控除が適用されるか

扶養手続きが完了すると、保険料や年金、税負担が軽減され、廃業後の生活設計がしやすくなります。

まとめ

自営業が廃業する際の手続きは、法人に比べて比較的簡単です。しかし、廃業した年の所得に関しては確定申告が必要となるため、税務処理を確実に行うことが大切です。

また、取引先との関係が残っている場合は、未払い金や売掛金などの債権・債務を廃業前に整理する必要があります。将来的なトラブルを避けるためにも、計画的に進めましょう。

ワコーファイナンスは、地域密着型の金融会社として、不動産担保ローンを提供しています。事業資金はもちろん、廃業後の生活資金にも柔軟に対応しており、最短2日で利用可能なスピード審査に対応しています。

電話だけでなく、オンラインからの申し込みや相談も受け付けています。突然資金が必要になった、または廃業後の資金に不安がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

ワコーファイナンスでは、資金使途自由の不動産担保ローンをご検討中の方に向けて
お試し診断を承っております。

 

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担保になるものとは?事例や担保の取得方法なども解説

お役立ち情報 2025/07/23

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金融機関などから融資を受ける場合、担保の提供が求められるケースがあります。担保として利用できるのは、家屋や土地など不動産の物的担保や、連帯保証人などの人的担保です。

この記事では、担保となる具体的な資産や物的担保と人的担保のメリット・デメリット、担保取得までの流れについて解説しています。

担保になるものの代表的事例

担保とは、融資を受ける際に債務者が返済できなくなった場合に備えて、債権者へ価値の高い財産を提供する仕組みです。あるいは、代わりに返済する保証人を立てることも担保の一種とされます。債務者が借入金の返済を滞らせた場合、債権者は貸付金を回収できません。

そのリスクを減らすために、金融機関は担保を求めるのが一般的です。ここでは、代表的な担保の事例を紹介します。

不動産

土地や建物、マンション、ビル、店舗などの不動産は、担保として最も一般的に利用される資産です。不動産は資産価値が高く、登記によって所有者が明確になるため、債権者にとって非常に信頼性の高い担保といえます。

金融機関が不動産を担保として受け取る場合、通常は不動産に抵当権を設定します。万が一、債務者が返済不能となった際には、債権者は不動産を差し押さえて売却することで、貸付金の回収ができます。

債務者自身の名義でない不動産も、名義人の承諾があれば担保として認められるケースもあります。

こちらの記事では、土地担保について解説しています。融資を受ける仕組みやメリット・デメリットも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

預金

金融機関に預けている預金も、担保として利用できます。たとえば銀行から融資を受ける際には、その銀行に定期預金口座を用意し、預けた資金を担保にするのが一般的です。定期預金口座への預入額が多いほど、借入可能額も大きくなる傾向があります。

預金は通帳などで記録が残ることから、隠すのが難しく、担保として信頼性が高い資産といえます。債務者が返済不能になった場合、金融機関は預金を差し押さえることで、貸付金の回収が可能です。

連帯保証人

金融機関は債務者の返済が滞った場合に備えて、保証人を求めることがあります。借主が返済できない場合、連帯保証人は全額の返済義務を負います。

連帯保証人は債権者から返済を求められた場合、原則として拒否できません。連帯保証人による支払いが困難な場合は、財産の差し押さえなどの措置が取られる可能性もあります。

担保の種類

担保は、物的担保と人的担保の2種類に分類されます。それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説します。

物的担保

物的担保とは、換金性のある資産を担保とするものです。代表的な例としては、不動産や預金のほか、国債・株式・手形・小切手など有価証券、ゴルフ会員権なども含まれます。

法人が融資を受ける際には、売掛債権や商品在庫などを担保にするケースもあります。物的担保のメリットは万が一、返済不能になった場合でも債権者が資産を処分して貸付金を回収しやすい点です。

とくに、不動産のなかでも土地は長期間保有しても価格が大きく下がる可能性が低く、債務不履行時の確実な回収が期待できます。

また、借り手にとっても、物的担保の価値が高ければ高いほど融資額を増やせたり、金利の優遇を受けやすくなったりするメリットがあります。一方、物的担保には次のようなデメリットがあります。

  • 担保の価値を評価するために金融機関の審査が必要になる
  • 不動産を担保にする場合は抵当権の設定に時間と手間がかかる

抵当権を設定した不動産は、債務者が引き続き使用できますが、返済不能となった場合は債権者がその不動産を売却して貸付金の回収に充てることになります。

そのため、住居や事業用物件を担保にした場合、返済できなくなれば最終的に退去を余儀なくされるリスクがあります。

人的担保

人的担保とは債務者が返済不能に陥ったときに備え、第三者が代わりに返済をする契約のことです。一般的に「保証」とも呼ばれ、以下の3種類に分類されています。

  • 保証人
  • 連帯保証人
  • 連帯債務者

保証人は、債務不履行になったときに債務者の代わりに返済を行わなければなりません。ただし、保証人には「催告の抗弁」があり、債権者から返済を求められても「まずは債権者に請求してください」と主張できます。

また、債務者が返済能力を有している場合には、債務者の財産に強制執行するように求める権利もあります。複数の保証人がいるときは、責任を均等に負担する権利です。たとえば2人の保証人がいれば、それぞれ借入金の半額を返済すればよいという権利です。

一方で、連帯保証人には、保証人が持つ「催告の抗弁権(まず債務者に請求するよう求める権利)」や「検索の抗弁権(自分より債務者の財産を先に差し押さえるように主張できる権利)」が認められていません。

ただし、支払後には債務者に対して求償権を行使できます。また、連帯保証人が複数いる場合でも、全員が借入金の全額を返済する義務を負います。

3つめの連帯債務とは複数の債務者が、それぞれ全額の支払義務を持つ状態を指します。たとえば、夫婦や親子で住宅ローンを組んだ場合、それぞれが全額を返済する義務を負う連帯債務者となります。

債権者にとっての人的担保のメリットは、債務者が返済できなくなった場合でも保証人や連帯保証人から返済を受けられることです。借り手にとっても、保証人を立てることで信用力が高まり、融資を受けやすくなる利点があります。

ただし、保証人の返済能力が常に一定とは限らず、資産状況によって左右されるため、物的担保に比べて安定性に欠ける点はデメリットといえます。

担保の取得方法

ここでは、担保の取得方法について解説します。融資を受ける際に担保が必要な場合は、あらかじめ手続きの手順を把握しておきましょう。

当事者間で交渉する

融資の際における担保の有無は、債権者と債務者との交渉によって決まります。また、担保の種類についても、当事者間の交渉で決めるのが一般的です。

金融機関から提示された担保条件が合わない場合は、債務者の判断で融資の申し込みを取り下げることも可能です。安易に応じず内容を確認したうえで慎重に検討しましょう。

所有者の同意を得る

債務者本人が所有していない財産を担保にする場合は、所有者の同意が必要です。たとえば不動産であれば、自身が100%の所有権を持っている土地や建物は自由に担保として差し出せます。

一方で、親族などと共有している不動産は、自分に割り当てられた共有持分であれば、ほかの共有者の許可がなくても担保に設定可能です。しかし、ほかの共有者の共有持分は、無断で担保に設定はできません。

また、他人名義の不動産を担保にするには、必ず名義人の書面による同意が必要です。このとき、口約束による同意では無効とされるため、名義人にはリスクの説明をして、署名・捺印を求められるのが一般的です。

担保となるものの価値を評価する

債権者は、担保が融資額に見合う価値を持っているかどうかを判断するために、資産の評価を行います。不動産を担保とする場合、採用される評価方法は一律ではなく、金融機関の判断によって変わるのが一般的です。

そのため、同じ土地であっても、金融機関によって不動産の評価額が異なるため、借り入れできる金額も変わってきます。

然るべき契約や手続きを結ぶ

担保を設定する際には、物的担保と人的担保で必要な契約内容が異なります。物的担保では債権者と債務者の間で担保権設定契約を結び、人的担保では保証契約が必要です。

また、物的担保の設定後は、契約日と同日に対抗要件を備えるのが一般的です。対抗要件を備えることで、債権者は第三者に対して自分の担保権を正式に主張できるようになります。

まとめ

お金を借りる際に担保となるのは、不動産や預金といった物的担保、あるいは連帯保証人のような人的担保です。物的担保と人的担保にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、特徴をよく理解したうえで、どの資産を担保にするかを債権者と協議しましょう。

不動産担保ローンは土地や建物、マンションなどの不動産を担保にして、資金を借りられるサービスです。不動産担保ローンの用途は自由で、必要に応じて生活費や医療、納税資金などさまざまな支払いに充てられます。

不動産担保ローンの利用を検討中の方は、ワコーファイナンスにご相談ください。ワコーファイナンスでは静岡県、愛知県を中心とした地域密着型で、安心のお取り引きをご案内しています。

資金使途自由の不動産担保ローンをご用意し、柔軟な融資を行います。また、お試し診断では、融資可能かおおよその目安を確認できますので、ぜひお気軽にご活用ください。

 

本記事は正確な情報を掲載するよう努めておりますが、
情報が古くなったりすることもあり、必ずしもその内容の正確性を保証するものではございません。
当該情報に基づいて被った損害については責任を負いかねます。

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不動産投資でフルローンは可能?メリット・デメリットなどを解説

お役立ち情報 2025/07/17

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不動産投資を始める際、最初のハードルとなるのが資金の確保です。自己資金が少ない場合「フルローンを利用できないか」と検討する方もいるのではないでしょうか。フルローンとは物件価格の全額を融資でまかなう方法です。

本記事では、不動産投資におけるフルローンの基本やメリット・デメリットについて解説します。自己資金に不安がある方や、フルローンを活用した不動産投資を検討している方は、参考にしてください。

不動産投資のためにフルローンは組める?

不動産投資においてフルローンを組むことは、理論上は可能です。ただし、実際には金融機関の審査基準や諸条件をクリアする必要があり、誰もが簡単に利用できる方法ではありません。

フルローンによる不動産投資の魅力は、自己資金をほとんど使わずに投資を始められる点にあります。一方で、返済負担が大きくリスクも高くなります。

不動産投資におけるフルローンは、メリットだけではなく、デメリットについても理解したうえで検討しましょう。

フルローンとは?

フルローンとは、不動産の物件購入価格の全てを金融機関からの融資でまかなう資金調達方法です。不動産ローンは、購入価格の一部を自己資金(頭金)として用意するのが一般的ですが、フルローンでは頭金なしで物件を取得できます。

通常、不動産を購入する際、物件価格の10〜30%を頭金として支払い、残りの70~90%をローンで借りるケースが多く見られます。これに対し、フルローンでは頭金が不要となるため、自己資金を使わずに不動産投資を始められるのが特徴です。

ただし、金融機関によって評価額や審査条件が異なるため、フルローンであっても、自己資金が一切不要になるとは限りません。銀行の評価額が物件価格を下回る場合や、登記費用・税金などの諸費用は、自己資金が必要になるケースが一般的です。

不動産投資のためにフルローンを組むデメリット

フルローンで不動産投資を行うには、主に以下のようなデメリットがあります。これらを十分に理解したうえで、慎重に判断することが大切です。

返済の負担が大きい

フルローンでは物件価格の全額を借り入れるため、返済額が大きくなります。通常のローンに比べ月々の負担が重くなり、キャッシュフローがマイナスになるリスクが高まります。

たとえば、3,000万円の物件を購入する際、頭金20%を用意して通常ローンを組んだ場合とフルローンで借り入れたときのローン返済額を比較してみましょう。以下は、3,000万円を固定金利3%、35年返済でローンを組んだケースです。

  通常ローン(頭金あり) フルローン
借入額 2,400万円(頭金600万円) 3,000万円
月々の返済額 約9.2万円 約11.5万円

頭金を準備した通常ローンと比較すると、フルローンとの間に約2.3万円の差が生じます。この差額が家賃収入を上回ると、毎月の収支が赤字になるおそれがあります。

さらに、空室リスクや修繕費などの予期せぬ出費があれば、資金繰りが一気に悪化しかねません。土地を担保に追加融資を受ける選択肢もありますが、それにより返済負担が重くなっていきます。

こちらの記事では、土地担保について解説しています。融資を受ける仕組みやメリット・デメリットも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

金利が上昇する可能性がある

フルローンで借入額が大きい場合、金利上昇の影響をより大きく受けます。たとえば、金利が1%上昇しただけでも、毎月の返済額や総返済額は大幅に増加します。

また、フルローンは金融機関にとってリスクの高い融資形態であるため、通常のローンよりも金利は高く設定される傾向です。さらに、不動産ローンの多くは変動金利のため、将来的に金利が上昇すれば返済額も増加し、キャッシュフローの悪化を招く可能性があります。

家賃収入が変わらないなかでローン返済額だけが増加すれば、収支が圧迫されるリスクが高まります。

諸経費は借入不可

不動産取引では、物件価格以外に以下のような諸経費が発生します。

  • 仲介手数料
  • 登記費用
  • 不動産取得税
  • 消費税(新築の場合)

一般的に諸経費の目安は物件価格の3~9%とされており、3,000万円の物件であれば、90〜270万円の自己資金が必要です。フルローンではこれらの諸経費は融資対象外となるため、別途自己資金で準備しなくてはなりません。

そのため「完全な自己資金なし」での不動産投資は現実的ではなく、ある程度の資金は不可欠です。

金融機関の審査が厳しい

フルローンは金融機関にとってリスクが高いため、通常のローンよりも審査が厳しくなります。融資を受けるには、安定した高収入や良好な信用情報、担保価値の高い物件など、複数の条件をクリアしなければなりません。

とくに、以下の内容を慎重に審査されます。

  • 返済能力
  • 過去の返済履歴にもとづく信用情報
  • 物件の収益性と担保価値
  • 職業の安定性

ひとつでも条件を満たせなければ、融資を受けられないもしくは金利が高く設定される可能性があります。さらに、フルローンの融資実績がある金融機関は限られているため、選べる金融機関が少ない点も注意が必要です。

ワコーファイナンスでは、資金使途自由の不動産担保ローンをご用意しております。お試し診断も承っておりますので、ぜひご利用ください。

不動産投資のためにフルローンを組むメリット

フルローンにはデメリットだけでなく、投資戦略によっては大きなメリットをもたらす可能性もあります。主なメリットは次のとおりです。

手元に資金を残せる

フルローン最大のメリットは、自己資金をほとんど使わずに不動産投資を始められる点です。これにより、手元資金を他の用途に活用できます。

たとえば、1,000万円の自己資金がある場合、通常のローンであれば約3,000〜4,000万円の物件しか購入できません。しかし、フルローンであれば、1,000万円を手元に残したまま同等の物件に投資できます。手元資金は空室対策や修繕費用、急な支出への備えにも活用可能です。

さらに、分散投資の観点でも有効です。不動産に全資金を投入するのではなく、余剰資金を株式や債券といった別の資産に配分することで、リスクを分散できます。

投資効率が上がる

そもそも不動産投資は株式やFXのような金融投資とは違い、投資用ローンを利用できる点が大きな強みです。フルローンは不動産投資の長所を最大限に活用しているといえるかもしれません。

借入によって自己資金のみの運用よりも大きな収益を得ることは「レバレッジ効果」と呼ばれ、投資効率の向上に繋がります。たとえば、自己資金2,000万円で利回りが7%の物件を購入した場合、年間収益は140万円です。そこにレバレッジを効かせ、3,000万円の借入(固定金利3%、35年返済)で5,000万円の物件を購入すると、借入の返済額を差し引いても約212万円の収益となります。自己資金に対する投資効率で考えると、約1.5倍も収益が増加した結果になります。

上記はあくまで単純化した計算であり、また、投入した自己資金に基づいた計算となるため、フルローンの場合の倍率を出すことはできませんが、レバレッジ効果が絶大であることはお分かりいただけるでしょう。

ただし、先述した通り、借入額が多いほど返済の負担も大きくなるため、逆にキャッシュフローがマイナスになる可能性もあります。フルローンが必ずしも投資効率を上げるわけではないことに注意しましょう。

フルローンが組みやすくなるポイント

フルローンのメリット、デメリットを把握したうえで、実際にフルローンを利用したいとなった場合、以下の3つのポイントを押さえることで融資の可能性が高まります。

販売価格より銀行評価の高い物件を選ぶ

金融機関は購入する物件の価値を独自に評価し、その評価額にもとづいて融資額を決定します。販売価格よりも銀行の評価額が高い、もしくは同等の物件を選ぶことで、フルローンの審査に通る可能性は高まるためです。

たとえば、販売価格が3,000万円であっても、銀行の評価額が3,300万円であれば、評価額の約90%、3,000万円の融資でも実質的にはフルローンとなります。

銀行評価が高くなりやすい物件には、以下のような特徴があります。

  • 駅近や交通の便が良い立地
  • 人口増加エリア
  • 再開発が進む地域
  • 賃貸需要の安定した地域

物件選びの際は金融機関の評価基準を理解し、担保価値の高い物件を見極めることが重要です。

高収入・社会的信頼性の高い職業に就いている

フルローンが組みやすくなる理由のひとつに、安定した収入と社会的信頼性の高い職業に就いていることが挙げられます。

金融機関は融資の審査において、返済能力の高さや継続的な収入が見込めるかを重視するため、雇用の安定性や収入の継続性が確認できる場合は評価が高くなります。

また、社会的信用がある職業は、返済遅延のリスクが低いと判断されやすく、審査全体で有利に働きます。このような属性を持つことで、金融機関からの信頼度が上がり、フルローンの承認につながりやすくなります。

不動産投資経験が豊富である

すでに複数の投資物件を所有し、安定した返済実績もある場合、金融機関からの信頼が高まるためフルローンが承認されやすくなります。

とくに、返済の遅延がないことや適切な管理、キャッシュフローの維持などの実績があれば、フルローンを認められる可能性が高くなります。

初めての不動産投資でフルローンを組むのは簡単ではありません。まずは自己資金を使って1棟目を取得し、その実績をもとに2棟目以降でフルローンに申し込む、段階的なアプローチがおすすめです。

まとめ

不動産投資において、フルローンを利用することは可能です。自己資金が少なくても投資を始められる点や、レバレッジ効果を最大限に活かせる点はメリットです。

一方、返済負担の大きさや金利上昇リスク、諸経費の別途負担、そして厳しい金融機関の審査といったデメリットもあります。とくに、借入額が大きくなることで、キャッシュフローが悪化しやすく、空室や家賃下落、金利上昇といった不測の事態に対する耐性が弱まる点は認識しておきましょう。

フルローンを検討する際は、自身の経済状況や信用情報、物件の収益性などを総合的に判断し、無理のない投資計画を立てることが重要です。また、完全に「自己資金ゼロ」での投資は、諸経費の関係で現実的ではなく、一定の準備資金は必要になります。

自己資金が少なくても不動産投資をあきらめたくない方は、ワコーファイナンスのご利用をご検討ください。静岡県・愛知県を中心とする地域密着型の金融会社で、安心のお取り引きをご案内いたします。

スピード審査により、最短2日で融資が可能です。資金使途も自由なため、不動産投資に関する資金調達でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

 

本記事は正確な情報を掲載するよう努めておりますが、
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身元保証人がいない高齢者の対策とは?サービスの選び方や注意点なども解説

お役立ち情報 2025/07/11

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高齢者で身元保証人がいない場合、入院や介護施設への入所時などの手続きが思うように進まず、支障をきたすことがあります。身寄りがなく身元保証人を立てられない場合、身元保証サービスを利用するのもひとつの選択肢です。

身元保証サービスの内容も保証会社によって異なるため、事前に確認し比較検討することが大切です。

この記事では、身元保証サービスの概要や選び方、利用するときの注意点について解説しています。身元保証人がいないことを不安に感じている方は、ぜひ参考にしてください。

身元保証人がいない高齢者が困るシチュエーションは?

身元保証人とは、本人に代わってさまざまな手続きや判断などを行う役割を担う人のことです。身寄りのない高齢者にとっては、身元保証人がいないことで生活に支障をきたす場面があります。

病院で入院や手術をするとき

病院への入院や手術が必要な場合、身元保証人を求められるケースが多くあります。独身や単身生活などの理由で身元保証人がいない高齢者は、急な病気やケガで入院・手術が必要になったときに対応できず、受け入れが難しくなる可能性があります。

入院や手術時に病院から身元保証人を求められるのは、主に費用未払い時の対応と、治療中に本人が亡くなった場合の遺体引き取りや精算手続きを保証するためです。

相続人がすぐに確認できない場合、手続きが煩雑になるため事前に身元保証人の措置が求められます。また、緊急連絡先の確保や入院診療計画書の説明、転院時の対応など、身元保証人としての役割は多岐にわたります。

介護施設へ入所するとき

高齢者が介護施設へ入所する場合も、契約の際に身元保証人が必要とされるのが一般的です。介護施設のサービスを利用するためには費用が発生するため、利用料を払えなくなった場合に備えて、連帯保証の責務を負う身元保証人が求められます。

入居中の高齢者に治療が必要で、本人が認知症などで適切な判断をできないときは、身元保証人が治療方針への同意を求められることが一般的です。また、身元保証人は、入居者が施設でケガをしたり、体調を崩したりした場合の緊急連絡先としての役割も担っています。

長期にわたって入居するタイプの介護施設では、施設内で亡くなるケースもあり、遺体の引き取りや対処手続きなども身元保証人の責任範囲です。

高齢者本人が亡くなったとき

高齢者本人が亡くなった場合、死亡後の各種手続きは自宅や施設でも身元保証人が行います。医師の立ち会いのもとで死亡確認を受け、死亡診断書を受け取るのも身元保証人の役割です。

そのあとは、葬儀や供養の準備、行政関係の手続き、電気や水道などライフラインの解約手続きを行います。介護施設に入所していた場合は、利用していた部屋の片付けや費用精算も必要です。

身元保証人がいないケースの対策

65歳以上の高齢者のひとり暮らしは増加傾向にあり、それにともなって身元保証人がいない高齢者も増えています。家族がいても関係が疎遠になっているなど、必要なときに頼れないケースも少なくありません。

出典:内閣府「第1章 高齢化の状況(第1節 3)」

https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2024/html/zenbun/s1_1_3.html

ここでは、入院や介護施設への入所時に身元保証人がいない場合にとるべき対策として、代表的な2つの方法を紹介します。

身元保証サービスを利用する

身元保証サービスとは、保証会社が親族に代わって身元保証人の役割を代行するサービスです。費用は発生しますが、頼れる人がいない場合は利用を検討するとよいでしょう。

サービス内容は運営する会社によって異なりますが、なかには24時間365日対応で、緊急時に駆けつける体制を整えているところもあります。ただし、葬儀や各種手続きに対応していない保証会社もあるため、契約前にサービス範囲の確認が大切です。

身元保証人不要の病院や介護施設を探す

入院や介護施設への入所時には、身元保証人を求められるケースが一般的です。しかし、一部の病院や介護施設では、身元保証人を不要としている場合があります。どうしても身元保証人を立てるのが難しければ、身元保証人がいなくても入院や入所が可能な施設を探すのもひとつの方法です。

病院は医師法により、正当な理由がない限り患者からの診療治療の要求を拒否できないことになっています。身元保証人がいないことだけを理由に入院を断るのは、不適切とされています。何らかの解決策を提案してもらえる可能性があるため、病院に相談してみましょう。

ただし、身元保証人がいない代わりに入院保証金の支払いを求められる場合があります。金額が大きくなる可能性もあるため、事前に費用や条件を確認しましょう。

出典:e-GOV「医師法第19条」

https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000201

身元保証サービスを選ぶときのポイント

身元保証サービスを利用する際は、自分の状況に合ったサービスを提供している保証会社を選ぶことが大切です。ここでは、サービス選びのポイントについて解説します。

サービス内容

まずは、自分が必要とするサービスが含まれているか確認しましょう。なかには、不要なオプションがついたプランもあり、そのぶん費用が割高になる場合があります。主なサービス内容を把握したうえで、過不足のないプランを選択しましょう。

日常生活のサポートが含まれるサービスでは、買い物や通院などのつき添いをしてもらえることがあります。また、緊急時の駆けつけサービスがついているプランなら、体調を崩して自宅で動けなくなったときにも対応してもらえます。

ひとり暮らしで近くに頼れる人がいない方にとっては、このようなサービスがあると心強いでしょう。

費用

身元保証サービスの利用には、一般的に数十万円の費用がかかります。入会金を設定している保証会社を利用する場合は、初期費用としてまとまったお金の準備が必要です。月会費や年会費が必要になるケースもあります。

料金はサービス内容ごとに設定されており、身元保証、日常生活のサポート、死後の手続きなど、依頼するサービスの種類が増えるほど支払う金額も多くなります。

お手持ちの資金に余裕があれば一括払いも可能ですが、年払いや月払いを検討する際には、継続的な支払いが可能かどうかを事前にシミュレーションしておきましょう。

身元保証サービスの利用にかかる費用の負担が大きいと感じる場合は、不動産担保ローンを活用する選択肢もあります。不動産担保ローンは、所有する土地や建物を担保に融資を受けられるローンです。

高齢者であっても、土地や家などの不動産を所有していれば不動産担保ローンを利用できる可能性があります。身元保証サービスの利用を検討する際は、不動産担保ローンを取り扱う会社に相談してみましょう。

こちらの記事では、土地担保について解説しています。融資を受ける仕組みやメリット・デメリットも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

契約内容の変更・解約の可否

身元保証サービスは、一般的に契約期間が長期にわたります。そのため、契約後に事情が変わって契約内容を変更や解約を希望するケースも想定されます。あらかじめ、契約内容の変更が可能かどうか、また解約の方法についても契約前に確認しておきましょう。

保証会社によっては、契約内容の変更に追加費用がかかる場合や、解約時に違約金が発生することがあります。条件を確認せずに契約すると、のちのちトラブルに発展する可能性があるため、不明な点は事前に保証会社に問い合わせておくことをおすすめします。

企業団体・担当者の信頼性

身元保証サービスは、利用者が病気にかかって判断能力を失ったときや、ケガをして意識を失ったときに、さまざまな手続きを代行する役割を担っています。そのため、信頼できる企業や担当者に依頼することが重要です。

保証会社を選ぶ際は設立年数や実績、事業規模などを参考にしましょう。担当者は、親身になって相談に応じてくれる姿勢があるか、必要な知識や経験を備えているかといった点も判断材料になります。

身元保証サービスを選ぶ際の注意点

身元保証サービスは信頼できる保証会社に依頼しなければ、トラブルに発展する可能性も考えられます。契約前に、サービスを選ぶときの注意点をチェックしておきましょう。

寄付を前提とした契約になっていないか

身元保証サービスのなかには、利用者本人が亡くなったあとに財産を寄付することが、契約に盛り込まれているケースも見られます。一部の身元保証会社では、財産の使い込みや、契約後の業務不履行などの問題も指摘されています。

また、寄付に依存した運営では安定した経営が難しく、長期間サービスを提供し続けられるか不透明です。トラブルを避けるためにも、寄付を条件とする契約には慎重に対応し、必要に応じて契約書を第三者に確認してもらうとよいでしょう。

第三者機関による監督があるか

2025年5月現在、身元保証サービスには、公的機関や業界団体による明確な監督制度がありません。そのため、サービスの質や信頼性が低い身元保証会社も一部存在し、トラブルに発展する事例も見受けられます。

一部の保証会社では、独自に監督体制を設け、弁護士や専門家の第三者が資金の管理を行うことで不正を未然に防ぐ取り組みを進めています。第三者による監督がきちんと行われているかどうかも、身元保証サービス選びの基準にしましょう。

信託口座による財産管理になっているか

亡くなったあとの葬儀や手続きに備えてお金を身元保証会社に預ける場合は、信託口座による財産管理を行っている保証会社を選ぶのがおすすめです。

信託口座に預けられた資金は、原則として本人の死後にしか払い出せず、保証会社による不正利用を防ぐ仕組みになっています。

緊急時や死後の対応が明確になっているか

緊急時や亡くなったあとの対応方法が明確に決められていないと、いざというときに対応が遅れたり、必要な対応がなされなかったりする可能性があります。

利用者に不利益が生じないよう、緊急連絡の体制や死後事務の範囲などが契約内容に記載されているか、契約時に詳細を確認しておきましょう。

まとめ

身元保証人は、入院や介護施設への入所、本人が亡くなったときなどに必要となります。身寄りのない高齢者で身元保証人を立てられない場合は、身元保証サービスの利用も検討しましょう。

身元保証サービスの利用には、入会金や月会費、サービス利用料など、一定の費用が発生します。費用を確保する方法として、不動産担保ローンの活用も視野に入れるとよいでしょう。

ワコーファイナンスでは、不動産を担保とした融資を行っています。静岡県・愛知県を中心とする地域密着型の金融会社で、安心のお取り引きをご案内いたします。

資金使途自由で審査のスピードも速く、最短2日で融資が可能です。電話・オンラインで、お申し込みやお試し診断を承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

本記事は正確な情報を掲載するよう努めておりますが、
情報が古くなったりすることもあり、必ずしもその内容の正確性を保証するものではございません。
当該情報に基づいて被った損害については責任を負いかねます。

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借地権価格とは?調べ方と計算方法・売却する際のコツを解説

お役立ち情報 2025/06/25

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借地権価格とは、土地を利用できる権利である借地権の評価額のことです。誤った認識のまま売買を進めてしまうと、損失やトラブルの原因となる可能性もあります。借地権を売買する際は、おさえておきたいポイントがあります。

本記事では、借地権価格の基本的な仕組みや計算方法、調べ方についてわかりやすく解説します。借地権の取り扱いに不安がある方や、これから売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

借地権価格とは

借地権価格とは「土地を利用できる権利」である借地権に対して付けられる評価額のことです。借地権価格には、決め方に明確なルールがあります。ここでは、借地権価格の決め方について解説します。

決め方

借地権価格は、土地の評価額に借地権割合を乗じて算出します。借地権割合とは、土地の権利のうち、借地権が占める割合を示す数値です。

たとえば、国税庁が公開している「財産評価基準 路線価図・評価倍率表」では、地域ごとに借地権割合が定められています。

借地権割合はA(90%)からG(30%)の10%刻みで評価されており、アルファベットが記載されていない場所については20%として評価されます。

たとえば、土地の評価額が2,000万円、借地権割合が70%の場合、借地権価格は以下のように計算されます。

2,000万円×70%=1,400万円

なお、借地権割合と混同されやすい用語として、借家権割合があります。借家権割合とは、賃貸物件の相続税評価額を算出する際に用いられる割合です。全国で一律30%に設定されており、借地権割合とは用途も割合も異なります。

必要なケース

借地権価格は、相続や売却などの場面で必要になります。とくに、代表的なケースは借地権の相続時です。

被相続人が借地権を保有していた場合、借地権も遺産として相続の対象となります。相続人が相続税を申告・納付する際には、借地権の評価額が必要になるため、借地権価格を算出しなければなりません。

なお、相続税は遺産の総額が3,600万円以下なら非課税になります。

もう1つのケースは借地権を売却する場合です。借地権は受け取るだけでなく、別の人物に譲渡も可能です。

このときも、売却価格を決定するために、借地権価格が必要です。借地権割合が高いエリアにある土地は、借地権価格も高くなります。

このように、借地権価格は相続税の計算や売却価格の決定など、金銭的評価が求められる場面で必要です。

借地権の種類と借地権価格の計算方法

借地権には以下のような種類があります。

  • 普通借地権
  • 定期借地権
  • 一時使用目的の借地権

借地権の種類および借地権価格の計算方法について解説します。

普通借地権

普通借地権とは、契約期間の満了後に更新ができる借地権のことです。特約がなければ存続期間は原則30年とされています。30年以上の期間で契約を定めた場合は、その期間が存続期間となります。なお、30年より短い期間は基本的に無効です。

契約方式に制限はとくに設けられていないため、口頭での契約も可能です。しかし、契約内容に関するトラブルを避けるため、書面で契約を交わすのが一般的です。契約の更新をする場合、初回の存続期間は20年以上、2回目以降は10年以上と定められています。

また、普通借地権の借地権価格は、相続税路線価と借地権割合を掛けて算出可能です。相続税路線価とは国税庁が公表している土地の評価額のことで、国税庁の公式サイトでチェックできます。

たとえば、路線価が1坪あたり30万円の土地を100坪分(評価額3,000万円)所有しており、かつそのエリアの借地権割合が70%の場合、借地権価格は以下のとおりです。

3,000万円×70%(借地権割合)=2,100万円

このように、普通借地権の価格を知るには、相続税路線価と借地権割合を用いた計算が基本となります。

定期借地権

定期借地権とは、契約時に定めた期間の満了をもって、借地関係が終了する契約のことです。契約更新は行われず、あらかじめ設定した期間が終了すれば、自動的に契約は終了します。定期借地権は3種類あり、それぞれの契約期間と用途は次のようになっています。

種類 契約期間 用途
事業用定期借地権 10年以上50年未満 事業用に限られる
建物譲渡特約付借地権 30年以上 将来土地を確実に取り戻したいとき、建物投資をしたいときにおすすめ
一般定期借地権 50年以上 活用法は自由

定期借地権の借地権価格を算出する計算式は、以下のように非常に複雑です。

土地の評価額×(A÷B)×(C÷D)

  • A:定期借地権の設定時における借地権者に帰属する経済的利益の総額
  • B:定期借地権の設定時におけるその宅地の通常の取引価額
  • C:課税時期における定期借地権の残存期間年数に応じた基準年利率による複利年金原価率
  • D:定期借地権の設定機関年数に応じた基準年利率による複利年金原価率

このように、定期借地権の価格は専門的な計算を必要とするため、無理に自分で算出せず、不動産鑑定士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

一時使用目的の借地権

短期間の利用を前提とする一時使用目的の借地権とは、マンション建設中の現場事務所をはじめ、一時的な使用が明らかなときに認められる借地権のことです。契約期間が比較的短く、通常は10年以下とされている点が特徴です。

一時使用目的の借地権価格は、以下のように状況によって計算式が異なります。

状況 計算式

・設定の対価として権利金や一時金の支払いがある場合

・堅固な構築物の所有を目的とする場合

雑種地の自用地としての評価額×法定地上権割合と借地権割合とのいずれか低い割合
上記以外 雑種地の自用地としての価額×法定地上権割合×1/2

権利金や構築物の有無によって、適用される割合が変動する点を理解しておきましょう。

売買に用いる借地権価格

借地権を売買に用いる場合、適正価格を設定します。適正な価格を設定しなければ、買い手の交渉が難航したり、不当な金額で手放したりするリスクがあります。正当な評価をするためには、過去の取引の価格や周辺エリアの市場相場の調査が必要です。

とはいえ、借地権の正確な価格設定には専門的な知識が必要不可欠です。不動産会社や不動産鑑定士などの専門家に鑑定を依頼しましょう。

借地権を売却する際のコツ

借地権の種類ごとの価格の調べ方、および計算式について理解できたでしょうか。続いては、借地権を売却するにあたって押さえるべきポイントについて解説します。

地主との関係を良好に保つ

借地権を売却するにあたって、地主と良好な関係を構築しておきましょう。借地権とは、地主から借りた土地を利用する権利で、売却の際は地主の承諾が必要です。

そのため、万が一地主から許可が出なければ、原則として借地権を売却できません。
地主との関係を良好に保つために大切なのは、地代の滞納をしないことです。地代の不払いが続いていると、地主からの信頼を損ない、場合によっては契約解除のリスクも生じます。

普段から地主と顔を合わせる機会が多い場合は、挨拶や丁寧な対応を欠かさないようにしましょう。

専門の買取業者に依頼する

借地権を売却する際は、必ず専門の買取業者に依頼しましょう。専門の買取業者であれば、借地権に関する知識や地主との交渉ノウハウも熟知しているため、借地権の売却取引をスムーズに進めやすくなるためです。

一方、業者選びには注意が必要です。残念ながら、借地権に不慣れであったり、不誠実な対応だったりする業者も存在します。そのため、業者を選定する際は、以下の点を確認しましょう。

  • 借地権売買の実績は豊富か
  • 査定の基準が明確に説明されているか
  • 担当者が誠実かつ丁寧に対応してくれるか

こちらの話を聞いてくれない、接客が適当など、問題行動が目立つ場合はほかの業者を探すのが賢明です。

複数の業者に売却査定を依頼する

借地権の売却を検討する際は、複数の業者に査定を依頼する「相見積もり」を行いましょう。借地権の査定基準や販売戦略は、業者によって異なります。複数の業者に査定を依頼すれば、査定価格の正確さがわかるだけでなく、納得できる条件で売却を進めてくれる業者の選定が可能です。

ただし、相見積もりを行う場合には、以下の点に注意が必要です。

  • 各業者に対して「相見積もりを行っている」ことを事前に明示する
  • 他社の査定金額を交渉材料として使用しない

他者の価格を持ち出して交渉すると、不正競争防止法や談合とみなされるリスクがあります。情報管理や倫理的配慮が求められるため、信頼関係を損ねるような行動は慎みましょう。

第三者に売却する

地主から許可が得られることが前提ですが、借地権は第三者への売却が可能です。第三者に売却するメリットは、複数の購入希望者が現れた場合に競争原理の発生によって売却価格の上昇が期待できる点です。

ただし、借地権を購入する側から見ると、土地の所有権がないことやローン審査が通りにくいことのデメリットがあります。需要の高いエリアにある土地でない限り、一般的な不動産よりも購入のハードルが高くなります。

ホームインスペクションを実施する

借地権付き建物の売却をする前に、ホームインスペクションも実施しておきましょう。ホームインスペクションとは、住宅の劣化状態や施工不具合の有無などを調査する建築系の専門的サービスです。

ホームインスペクションを実施し、あらかじめ購入希望者に住宅の状態を正確に伝えることで、売買成立後の不要なトラブルを防げます。また、住宅の劣化状況によっては相場より高い売却価格を設定することも可能です。

借地権売却以外におすすめの資金調達

借地権の売却を検討している方のなかには、資金調達を目的にしている方もいるでしょう。しかし、土地の条件や借地権割合によっては、本来期待していた金額とはほど遠い金額でしか売買が成立しない可能性もあります。

その場合は「不動産担保ローン」の利用を検討してみましょう。不動産担保ローンとは、金融機関から資金を借入れる手段の1つです。自身が所有している不動産はもちろん、金融機関によっては築古や第二抵当の不動産、また家族や法人名義の不動産も担保にできます。

担保があるため、一般的なローンと比較すると金利が低いのが特徴です。また、借入限度額も大きく、返済期間も長く設定できます。ただし、返済が滞ってしまうと担保の不動産を失ってしまう可能性もあるため、事前に無理のない返済計画を立てたうえで利用しましょう。

こちらの記事では、土地担保の融資について解説しています。仕組みやメリット・デメリットも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

借地権価格を適切に把握し、正しい手続きをすれば、納得できる条件での売却が期待できます。事前に借地権の種類ごとの調べ方や計算方法、売却時の注意点を理解しておきましょう。
しかし、土地の条件や借地権割合によっては想定よりも低い価格でしか売却できないケースがあります。借地権の売却に不安がある方は、不動産担保ローンの活用を検討してみてください。

ワコーファイナンスでは、住宅などの不動産を担保としたローンを提供しており、借入金の使い道も自由に設定できます。

審査のスピードも早く、最短2日から融資を受けられるため、早急に資金を調達したい方にとって心強い選択肢となります。電話やオンラインで、お申し込みやご相談を受け付けています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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老後資金がないとどうなる?リスクと不足しているときの対処法

お役立ち情報 2025/06/10

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年金問題や物価の高騰などが原因で、老後の資金に対する不安を抱えている方が増えています。どの程度お金を貯めれば老後も生活ができるのか、またお金が足りない場合どうすればよいかわからない方もいるのではないでしょうか。

本記事では、老後資金がどの程度必要になるのか、また老後資金がない場合の対処法について解説します。また、老後資金の枯渇を防ぐための生活のポイントも一緒に取り上げるため、老後資金関連の悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてください。

老後資金がないことのリスク

老後資金が不足していると、生活の自由度が制限され、心身の健康にも悪影響を及ぼすおそれがあります。ここでは、老後資金がないことにより生じる主なリスクについて解説します。

最低限の生活しかできなくなる

老後資金が十分に確保できていないと、生活を切り詰め、最低限の生活しか送れなくなる可能性があります。老後の生活費には、食費や光熱費、通信費、医療費など、日常的にさまざまな費用が必要です。

年金収入だけでは、すべてまかないきれないことがあり、制約の多い生活になってしまいます。趣味をやめ、外出を制限されるようになると、生活が単調になり精神的なゆとりも失われやすくなります。

老後を自分らしく楽しみながら生きるためには、最低限ではなく、余裕のある生活を支える老後資金の準備が欠かせません。

住居の維持が難しくなる

老後資金が不足していると、安全で快適な住環境の維持が難しくなります。持ち家でも賃貸でも、住居を維持するには継続的な支出が必要なためです。

たとえば、持ち家の場合、屋根や外壁、水回りなど、設備の老朽化が進みます。放置すると、雨漏りや断熱性の低下などの問題が起こり、住宅の寿命や安全性が損なわれます。

とくに、地震や台風といった自然災害が発生した際、倒壊リスクが高まり命の危険につながる事態にもなりかねません。

一方、賃貸の場合でも、年金だけでは家賃の支払が困難になり、現在地から転居が必要になるケースがあります。家賃が安い物件へ引っ越すと、治安や周辺環境、バリアフリー対応などの点で、生活の質の低下も考えられます。

医療・介護費用が不足する

老後資金が不足していると、医療や介護に必要な費用もまかなえなくなります。高齢になるほど、病気や身体機能の低下などの健康リスクが高まり、医療機関での診察や介護サービスの利用が必要になる場面が増えていくためです。

公的保険制度によって一部補助されるサービスもありますが、それでも自己負担額は発生します。要介護度が高い場合、月に数万円以上の費用が必要です。

老後資金が足りない結果、治療や介護サービスが受けられず、健康状態がさらに悪化するおそれがあります。老後を安心して過ごすためには、医療費、介護費用を見込んだ資金計画をたてましょう。

突然の出費に対応できなくなる

予期せぬ出費に対応できなくなる点も、老後資金が不足していることで発生が予想される問題のひとつです。冠婚葬祭や医療費、大型家電の故障など、突発的にまとまった出費が必要になるケースがあります。

日常的な支出とは異なり、数万円から数十万円規模の費用が一度に必要となるケースもあります。そのため、予備資金を確保し、突発的な出費にも対応できるよう計画的な備えが必要です。

老後に必要となる資金の目安

老後の生活を安心して送るためには、一定の資金準備が必要です。十分な老後資金がなければ、生活の質が下がるだけでなく、住まいや医療、介護などの不可欠な支出に対応できなくなります。

一般的な目安として、夫婦2人で老後生活を送るためには4,000万円必要といわれ、1人あたり2,000万円を用意しておく必要があります。

ただし、2,000万円の資金があったとしても老後の生活が30年続くと想定した場合、1か月あたりに使えるのは5万5555円程度です。公的年金が毎月5万円入るとしても、余裕のない生活になると予想されます。

老後資金がないときの対処法

老後を安心して過ごすためには、1人あたりおよそ2,000万円の資金が必要といわれています。

ここでは、老後資金が不足している場合に、どのような方法で資金を確保できるのか、具体的な対策を紹介します。

手持ちの資産を活用してみる

まずは、手持ちの資産の活用を検討しましょう。1990年頃の日本は定期預金の利率が1年で6〜7%ほどあり、預けておくだけで資産が増える時代がありました。

しかし、2024年時点の定期預金の利率は0.005%と低く、預金だけで老後資金を増やすのは現実的ではありません。資産の活用方法のひとつに、資産運用があります。

株式投資や投資信託などさまざまな手法がありますが、注目を集めているのが「iDeCo(イデコ)」と呼ばれる個人型確定拠出年金です。

iDeCoとは任意で加入できる私的年金制度で、毎月決まった額を積み立てて運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取る仕組みです。

イデコの最大の特徴は、毎月の掛け金が全額所得控除の対象となる点です。老後資金を準備しながら所得税や住民税の軽減も期待できます。

ただし、原則として、60歳になるまで途中で引き出せません。長期的な資産形成を目的とした制度である点を理解しておきましょう。

住み替えを検討する

老後資金が足りず、住居を維持できない場合は、住み替えを検討しましょう。家賃や住宅関連の支出を抑え、限られた生活資金の中でもゆとりある生活を送りやすくするためです。すでに土地や住宅を所有している方は、売却することで老後資金を賄えるでしょう。

ただし、築年数が経過した住宅は買い手が見つかりにくく、売却価格が想定よりも低くなる場合があります。売却益を新たな住まいの購入資金に充てる予定であれば、事前に不動産会社に査定を依頼し、売却の見通しの確認が必要です。

また、住み替えによる生活環境の変化は、敏感な方は引っ越しそのものが大きなストレスに感じます。住み替えは、金銭面だけでなく精神的、環境的な影響も考慮して判断しましょう。

不動産担保ローンを利用する

老後資金に不安を感じている場合は、不動産担保ローンの利用も検討しましょう。不動産担保ローンとは、土地やマンションなどの不動産を担保に利用するローンのことです。

借入限度額が大きいのが特徴で、商品を提供している金融機関によって異なりますが、上限額が1億円以上の不動産担保ローンもあります。また、不動産担保ローンは借入金利が低く設定されている点も魅力です。返済期間も長く設定されており、完済後は担保にした自宅に住み続けられます。

ただし、万が一、返済不能になってしまうと、不動産を売却してローンの返済にあてる必要があります。そのため、不動産担保ローンを利用する前には、自身の収支状況や将来の返済計画を十分に確認し、無理のない範囲での借入を計画しましょう。

こちらの記事では、土地担保の融資について解説しています。仕組みやメリット・デメリットも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

リバースモーゲージを利用する

リバースモーゲージの利用も、老後資金の不安を解消する有効な方法です。リバースモーゲージとは、自宅を担保に金融機関から融資を受ける仕組みのことで、高齢者向けの貸付制度ともいえます。住み慣れた自宅に住みながら、生活資金を確保できる点が特徴です。

金融機関が提供するリバースモーゲージの多くは、借入期間中の返済は利息のみのため、生活費の負担を抑えられる点も魅力です。

ただし、借入金の資金使途は生活資金や医療費、住宅ローンの支払いなどに制限されている点に注意しましょう。

また、リバースモーゲージは変動金利を採用しているため、金利が大きく変動してしまうと、利息の支払いが高額になる可能性もあります。

リースバックを利用する

リースバックとは、自宅などの不動産を、不動産会社などの第三者に売却したうえで、その物件を賃貸契約により住み続ける取引方法のことです。住み慣れた自宅に住み続けながら、売却によってまとまった資金を得られます。

この仕組みを利用すると、売却によって老後資金を一括で確保できるうえ、住み替えによる引っ越し費用や環境の変化によるストレスを避けられます。

ただし、リースバックには利用条件が設けられています。住宅ローンを滞納したために金融機関から持ち家を競売にかけられている場合や、住宅ローンの残債が不動産会社の売却想定額を上回っている場合、リースバックは利用できません。

生活保護を申請する

生活資金が尽き、現金も不動産もない場合は、生活保護の申請を検討しましょう。生活保護の申請に対して、恥ずかしいという気持ちから二の足を踏んでしまう方もいますが、生活保護は憲法で保障された国民の権利であり、生活の立て直しを支援する公的制度です。

どうしても生活が立ち行かなくなったときは、生活が維持できなくなる前に申請しましょう。生活保護の申請手続きは、最寄りの福祉事務所へ相談します。状況の聞き取りや必要書類を提出し、基準を満たせば生活保護の受給が認められます。

老後資金の不足を防ぐには

老後資金が不足した場合でも、複数の対応策があります。しかし、老後資金が不足しないように備えるのが理想です。以下では、老後資金の不足を防ぐための具体的な対策についてご紹介します。

節約を心掛ける

まずは、毎月の支出を見直し、無理のない範囲での節約を心がけましょう。節約のために意識すべきポイントとして、電気・ガス・水道などのライフラインやスマートフォンの通信費などの固定費は、契約先の見直しによって金額を抑えるのが可能です。

とくにおすすめしたいのが、スマートフォンの見直しです。通話やメール、インターネットの基本機能しか使用していない場合には、格安スマホに乗り換えると通信費が大幅に削減できます。

退職後も働く

退職後も働き続ける選択肢は現実的で有効です。収入が継続すれば、生活費をまかなえ、貯蓄の取り崩しを抑えられます。

昨今は労働人口の減少が進み、シニア世代の雇用を促進する企業も増えています。仕事をすることで日々の生活にリズムが生まれ、心身の健康維持にもつながります。

また、仕事を続ける場合は、老齢基礎年金の繰り下げの検討がおすすめです。老齢基礎年金の受給を繰り下げると、繰り下げ期間に応じて受け取り金額を増やすことが可能です。

健康を意識する

健康を意識した生活を送ることも、老後資金の不足を防ぐ方法の1つです。病気によって高額な医療費が継続的に発生すると、貯蓄を圧迫し、老後資金の枯渇につながりかねません。

健康を維持するためには、生活習慣の見直しが有効です。栄養バランスのよい食事に切り替えたり、身体を動かす機会を増やしたりすることも健康維持に役立ちます。

毎日の散歩をする、エレベーターではなく階段を利用するなど、日常生活の中で意識的に身体を動かす機会を増やしましょう。

保険に加入する

老後資金に不安を抱えている場合は、個人年金保険への加入を検討しましょう。個人年金保険とは、契約の際に定めた年齢から年金として給付金が受け取れる仕組みの保険商品です。貯蓄が苦手な方でも、継続的に資金を積み立てられる仕組みが整っています。

個人年金は一定の条件を満たせば所得控除の対象となり、税法上の優遇もある点がメリットです。ただし、途中で解約してしまうと、解約返戻金が払い込んだ保険料を下回る可能性があります。

また、個人年金保険には「確定年金」「有期年金」「終身年金」の3種類があります。それぞれ年金の受取期間や条件が異なるため、自身の目的に適したものを選択しましょう。

資産運用をする

現在、余剰資金がある場合は、資産運用も検討しましょう。メガバンクやネットバンクに100万円を1年間預けた場合、受け取れる利息はわずか数百円程度にとどまります。

一方、同じ100万円で配当利回りが5%の株式を購入した場合、1年間で約5万円の配当を得られる可能性があります。債券や投資信託などの商品を選べば、安定的な運用が期待できるでしょう。

ただし、資産運用にはリスクがともないます。投資の知識や経験が不十分なまま始めると資産を大きく減らすおそれがあるため、注意しましょう。

プロに相談する

老後資金に関する課題を自力で解決するのが難しいと感じたときは、ファイナンシャルプランナー(FP)や専門家への相談をおすすめします。現状の家計状況や将来の資金計画について的確なアドバイスが受けられ、現実で実行可能な対策がたてられます。

なお、相談会は無料と有料のものがあります。無料の相談会は費用負担がないため気軽に参加できますが、相談の回数制限が設けられていたり、相談するスタッフを選べなかったりするケースがあります。

有料の相談会は専任のスタッフが丁寧なサポートが受けられる反面、費用に対してサービスの内容が見合っているかを見極める必要があります。

まとめ

老後資金が不足すると、最低限の生活しか送れなくなったり、医療・介護費用が払えなくなったりするなど、さまざまなリスクが生じます。そのため、早い段階で老後資金への対策が大切です。

ワコーファイナンスでは、不動産担保ローンを中心としたサービスを提供しています。最短2日で利用可能なスピード審査に対応しており、電話だけでなくオンラインからの申し込みや相談を受け付けています。

突然資金が必要になった、老後資金に不安があるなど悩みがある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

ワコーファイナンスでは、資金使途自由の不動産担保ローンをご検討中の方に向けてお試し診断を承っております。

 

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