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借地権価格とは?調べ方と計算方法・売却する際のコツを解説

お役立ち情報 2025/06/25

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借地権価格とは、土地を利用できる権利である借地権の評価額のことです。誤った認識のまま売買を進めてしまうと、損失やトラブルの原因となる可能性もあります。借地権を売買する際は、おさえておきたいポイントがあります。

本記事では、借地権価格の基本的な仕組みや計算方法、調べ方についてわかりやすく解説します。借地権の取り扱いに不安がある方や、これから売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

借地権価格とは

借地権価格とは「土地を利用できる権利」である借地権に対して付けられる評価額のことです。借地権価格には、決め方に明確なルールがあります。ここでは、借地権価格の決め方について解説します。

決め方

借地権価格は、土地の評価額に借地権割合を乗じて算出します。借地権割合とは、土地の権利のうち、借地権が占める割合を示す数値です。

たとえば、国税庁が公開している「財産評価基準 路線価図・評価倍率表」では、地域ごとに借地権割合が定められています。

借地権割合はA(90%)からG(30%)の10%刻みで評価されており、アルファベットが記載されていない場所については20%として評価されます。

たとえば、土地の評価額が2,000万円、借地権割合が70%の場合、借地権価格は以下のように計算されます。

2,000万円×70%=1,400万円

なお、借地権割合と混同されやすい用語として、借家権割合があります。借家権割合とは、賃貸物件の相続税評価額を算出する際に用いられる割合です。全国で一律30%に設定されており、借地権割合とは用途も割合も異なります。

必要なケース

借地権価格は、相続や売却などの場面で必要になります。とくに、代表的なケースは借地権の相続時です。

被相続人が借地権を保有していた場合、借地権も遺産として相続の対象となります。相続人が相続税を申告・納付する際には、借地権の評価額が必要になるため、借地権価格を算出しなければなりません。

なお、相続税は遺産の総額が3,600万円以下なら非課税になります。

もう1つのケースは借地権を売却する場合です。借地権は受け取るだけでなく、別の人物に譲渡も可能です。

このときも、売却価格を決定するために、借地権価格が必要です。借地権割合が高いエリアにある土地は、借地権価格も高くなります。

このように、借地権価格は相続税の計算や売却価格の決定など、金銭的評価が求められる場面で必要です。

借地権の種類と借地権価格の計算方法

借地権には以下のような種類があります。

  • 普通借地権
  • 定期借地権
  • 一時使用目的の借地権

借地権の種類および借地権価格の計算方法について解説します。

普通借地権

普通借地権とは、契約期間の満了後に更新ができる借地権のことです。特約がなければ存続期間は原則30年とされています。30年以上の期間で契約を定めた場合は、その期間が存続期間となります。なお、30年より短い期間は基本的に無効です。

契約方式に制限はとくに設けられていないため、口頭での契約も可能です。しかし、契約内容に関するトラブルを避けるため、書面で契約を交わすのが一般的です。契約の更新をする場合、初回の存続期間は20年以上、2回目以降は10年以上と定められています。

また、普通借地権の借地権価格は、相続税路線価と借地権割合を掛けて算出可能です。相続税路線価とは国税庁が公表している土地の評価額のことで、国税庁の公式サイトでチェックできます。

たとえば、路線価が1坪あたり30万円の土地を100坪分(評価額3,000万円)所有しており、かつそのエリアの借地権割合が70%の場合、借地権価格は以下のとおりです。

3,000万円×70%(借地権割合)=2,100万円

このように、普通借地権の価格を知るには、相続税路線価と借地権割合を用いた計算が基本となります。

定期借地権

定期借地権とは、契約時に定めた期間の満了をもって、借地関係が終了する契約のことです。契約更新は行われず、あらかじめ設定した期間が終了すれば、自動的に契約は終了します。定期借地権は3種類あり、それぞれの契約期間と用途は次のようになっています。

種類 契約期間 用途
事業用定期借地権 10年以上50年未満 事業用に限られる
建物譲渡特約付借地権 30年以上 将来土地を確実に取り戻したいとき、建物投資をしたいときにおすすめ
一般定期借地権 50年以上 活用法は自由

定期借地権の借地権価格を算出する計算式は、以下のように非常に複雑です。

土地の評価額×(A÷B)×(C÷D)

  • A:定期借地権の設定時における借地権者に帰属する経済的利益の総額
  • B:定期借地権の設定時におけるその宅地の通常の取引価額
  • C:課税時期における定期借地権の残存期間年数に応じた基準年利率による複利年金原価率
  • D:定期借地権の設定機関年数に応じた基準年利率による複利年金原価率

このように、定期借地権の価格は専門的な計算を必要とするため、無理に自分で算出せず、不動産鑑定士や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

一時使用目的の借地権

短期間の利用を前提とする一時使用目的の借地権とは、マンション建設中の現場事務所をはじめ、一時的な使用が明らかなときに認められる借地権のことです。契約期間が比較的短く、通常は10年以下とされている点が特徴です。

一時使用目的の借地権価格は、以下のように状況によって計算式が異なります。

状況 計算式

・設定の対価として権利金や一時金の支払いがある場合

・堅固な構築物の所有を目的とする場合

雑種地の自用地としての評価額×法定地上権割合と借地権割合とのいずれか低い割合
上記以外 雑種地の自用地としての価額×法定地上権割合×1/2

権利金や構築物の有無によって、適用される割合が変動する点を理解しておきましょう。

売買に用いる借地権価格

借地権を売買に用いる場合、適正価格を設定します。適正な価格を設定しなければ、買い手の交渉が難航したり、不当な金額で手放したりするリスクがあります。正当な評価をするためには、過去の取引の価格や周辺エリアの市場相場の調査が必要です。

とはいえ、借地権の正確な価格設定には専門的な知識が必要不可欠です。不動産会社や不動産鑑定士などの専門家に鑑定を依頼しましょう。

借地権を売却する際のコツ

借地権の種類ごとの価格の調べ方、および計算式について理解できたでしょうか。続いては、借地権を売却するにあたって押さえるべきポイントについて解説します。

地主との関係を良好に保つ

借地権を売却するにあたって、地主と良好な関係を構築しておきましょう。借地権とは、地主から借りた土地を利用する権利で、売却の際は地主の承諾が必要です。

そのため、万が一地主から許可が出なければ、原則として借地権を売却できません。
地主との関係を良好に保つために大切なのは、地代の滞納をしないことです。地代の不払いが続いていると、地主からの信頼を損ない、場合によっては契約解除のリスクも生じます。

普段から地主と顔を合わせる機会が多い場合は、挨拶や丁寧な対応を欠かさないようにしましょう。

専門の買取業者に依頼する

借地権を売却する際は、必ず専門の買取業者に依頼しましょう。専門の買取業者であれば、借地権に関する知識や地主との交渉ノウハウも熟知しているため、借地権の売却取引をスムーズに進めやすくなるためです。

一方、業者選びには注意が必要です。残念ながら、借地権に不慣れであったり、不誠実な対応だったりする業者も存在します。そのため、業者を選定する際は、以下の点を確認しましょう。

  • 借地権売買の実績は豊富か
  • 査定の基準が明確に説明されているか
  • 担当者が誠実かつ丁寧に対応してくれるか

こちらの話を聞いてくれない、接客が適当など、問題行動が目立つ場合はほかの業者を探すのが賢明です。

複数の業者に売却査定を依頼する

借地権の売却を検討する際は、複数の業者に査定を依頼する「相見積もり」を行いましょう。借地権の査定基準や販売戦略は、業者によって異なります。複数の業者に査定を依頼すれば、査定価格の正確さがわかるだけでなく、納得できる条件で売却を進めてくれる業者の選定が可能です。

ただし、相見積もりを行う場合には、以下の点に注意が必要です。

  • 各業者に対して「相見積もりを行っている」ことを事前に明示する
  • 他社の査定金額を交渉材料として使用しない

他者の価格を持ち出して交渉すると、不正競争防止法や談合とみなされるリスクがあります。情報管理や倫理的配慮が求められるため、信頼関係を損ねるような行動は慎みましょう。

第三者に売却する

地主から許可が得られることが前提ですが、借地権は第三者への売却が可能です。第三者に売却するメリットは、複数の購入希望者が現れた場合に競争原理の発生によって売却価格の上昇が期待できる点です。

ただし、借地権を購入する側から見ると、土地の所有権がないことやローン審査が通りにくいことのデメリットがあります。需要の高いエリアにある土地でない限り、一般的な不動産よりも購入のハードルが高くなります。

ホームインスペクションを実施する

借地権付き建物の売却をする前に、ホームインスペクションも実施しておきましょう。ホームインスペクションとは、住宅の劣化状態や施工不具合の有無などを調査する建築系の専門的サービスです。

ホームインスペクションを実施し、あらかじめ購入希望者に住宅の状態を正確に伝えることで、売買成立後の不要なトラブルを防げます。また、住宅の劣化状況によっては相場より高い売却価格を設定することも可能です。

借地権売却以外におすすめの資金調達

借地権の売却を検討している方のなかには、資金調達を目的にしている方もいるでしょう。しかし、土地の条件や借地権割合によっては、本来期待していた金額とはほど遠い金額でしか売買が成立しない可能性もあります。

その場合は「不動産担保ローン」の利用を検討してみましょう。不動産担保ローンとは、金融機関から資金を借入れる手段の1つです。自身が所有している不動産はもちろん、金融機関によっては築古や第二抵当の不動産、また家族や法人名義の不動産も担保にできます。

担保があるため、一般的なローンと比較すると金利が低いのが特徴です。また、借入限度額も大きく、返済期間も長く設定できます。ただし、返済が滞ってしまうと担保の不動産を失ってしまう可能性もあるため、事前に無理のない返済計画を立てたうえで利用しましょう。

こちらの記事では、土地担保の融資について解説しています。仕組みやメリット・デメリットも取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。

まとめ

借地権価格を適切に把握し、正しい手続きをすれば、納得できる条件での売却が期待できます。事前に借地権の種類ごとの調べ方や計算方法、売却時の注意点を理解しておきましょう。
しかし、土地の条件や借地権割合によっては想定よりも低い価格でしか売却できないケースがあります。借地権の売却に不安がある方は、不動産担保ローンの活用を検討してみてください。

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情報が古くなったりすることもあり、必ずしもその内容の正確性を保証するものではございません。
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